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ハウスメーカー営業はきつい?仕事内容、年収、資格とは?

ハウスメーカー営業の仕事内容とは?

まずはハウスメーカーの営業とはどのような仕事なのかについて説明します。

ハウスメーカー営業は住宅を販売する

当たり前のことですが、ハウスメーカーの営業の仕事は住宅を販売することです。住宅と言っても個人が住む住宅もあれば、投資用マンションのような物件も存在します。

ハウスメーカーは住宅の中でも特に一戸建ての販売をしている住宅会社のことを指します。土地代を含めて数千万円、場合によっては億を超える事もあるので、営業の中でも特に大きな価格の商材を販売している営業だと言えます。

ハウスメーカーの事業規模

ハウスメーカーの中には住友林業や大和ハウス工業のような有名な大手企業もありますが、ほとんどのハウスメーカーは地域密着型の中小・零細企業で、8割のハウスメーカーが年間10棟も販売していないと言われています。

このような地方の住宅メーカーは少子高齢化などによって一戸建てのニーズが少なくなることを見越して、業績を維持するためにただ住宅を作るだけではなく、家を販売した後のアフターフォローやリフォーム業務に力をいれています。

住宅が販売されるまで

では、住宅が販売されるまでの流れに合わせて営業の仕事について説明します。

住宅展示場などで見込み案件を作る

まず、ハウスメーカーの営業は基本的にインバウンド営業です。

投資用マンションなどはテレアポや飛び込みによって販売する場合もありますが、注文住宅はこの手法で行っても効率が悪いので、基本的にマーケティングで反響を獲得してそれに対して営業します。

マーケティングの仕方は企業によってさまざまですが、オーソドックスな手法は住宅展示場を使った集客です。住宅展示場とはそのハウスメーカーが実際に家を内覧できる施設のことを指します。

チラシやWEBサイトを使って、家を建てようか検討している人を住宅展示場に誘導して、住宅展示場内で営業がお客様を接客しながら見込み案件を作っていくというのが一般的です。

この他にも、住宅に関するセミナーや実際のその会社で住宅を建てたOB客のお宅見学ツアーなどさまざまなマーケティング手法があります。

土地探しやローンの相談にのることも

インバウンドで集まったお客様の中で、具体的に商談が進みそうなお客様があれば営業がフォローします。お客様の状況はその人によってまちまちです。

土地を用意したり、どのような家に住みたいか、予算はどの位出せるのかを既に決めてきている人もいますし、漠然と家は欲しいけれども土地探しや予算設定もしていないお客様も存在します。

場合によっては、営業は土地やローンの紹介なども行う必要があります。

契約を獲得する

営業がまず目標とするのは契約を獲得することです。建てる土地や住宅の仕様、お金の工面の仕方などを具体的に相談しながらお客様の住宅に対するイメージを明確にし、商談の温度感を高めていきます。

ちなみに、この商談は営業だけで進めることはできません。家のデザインには設計事務所や会社の設計担当が関わってきますし、土地探しをするなら不動産屋などさまざまな部門や外注業者がお客様に対する提案に関わります。

営業はこのような色々な部署や外注業者と関わりながらお客様が契約したくなるような提案を完成させる必要があります。

そして、上手くお客様の心に提案が刺されば無事に契約獲得となります。

施工中のお客様をフォローする

一昔前は営業の仕事と言えば、契約を獲得することが重要でしたが近年はアフターフォローも重要になってきています。

せっかく契約を獲得しても施工段階のトラブルでお客様の心象が悪くなってしまえばSNSなどで、情報が拡散されて会社のイメージが悪くなってしまうかもしれないからです。ハウスメーカーは高単価な商品を販売する以上イメージに気を使う必要があります。

営業も必要に応じて、お客様に施工状況を報告したり、お客様の見学に同行したりして、お客様からクレームが発生しないようにフォローする必要があります。

そして、住宅が完成すれば営業としてのその案件に関わる仕事はひと段落します。

住宅引き渡し後のアフターフォロー

先ほど説明した通り、ハウスメーカーのほとんどは中小・零細企業で少子高齢化によりただ住宅を作るだけでは業績が先細りするので、アフターフォローに力をいれています。

例えば、住宅を引き渡した後に屋根の点検を無償でおこなったり、OB様への感謝会を開いたりしてリフォームなどの受注をするようにしています。

小さいハウスメーカーの場合、住宅の営業と並行して、このようなOBへのアフターフォローとリフォーム営業を行う場合もあります。

ハウスメーカー営業はきつい、激務?給与、ノルマ、勤務時間、休みとは?

ハウスメーカーの営業はきついというイメージを持たれがちです。なぜこのようなイメージがあるのか、仕事の給与、ノルマ、休みなどについて紹介します。

ハウスメーカーの営業の勤務時間・休み

ハウスメーカーの勤務時間や休みの特徴として挙げられるのが、変則的であるということです。まず、ハウスメーカーは基本的に一般消費者を相手にしますので、サービス業のように土日に働く必要があります。

よって、平日に交代で休むことになるのですが、新人や契約が取れていない営業はどうしても自分の欲しいタイミングで休みをもらえない可能性があります。

また、勤務時間についても決められた時間内にきちんと終わるわけではありません。営業の仕事時間はお客様ありきで決まります。多くのお客様は平日に仕事をされていますので、お客様との商談はどうしても土日や営業時間外が多くなってしまいます。

よって、普通の仕事と比較するとハウスメーカーの仕事は休みが取りにくくなります。

ノルマが存在する

また、ハウスメーカーの営業も営業職である以上、ノルマが存在します。もちろん、家は高額な商品なので月に何件も売れるわけではありません。

1か月に1回売れれば優秀な営業、普通の営業は2か月に1回位、それ以下のペースでしか売れない営業も存在します。

獲得しなければならない契約数は少ないですが、そもそも見込み客が少ないので、営業はノルマを達成するために1件1件の営業を確実にクロージングする必要があります。

このノルマを達成できない場合、上司や社長からプレッシャーを掛けられる場合があり、そのプレッシャーがきついこともあります。

ハウスメーカーの営業の給与は?

ハウスメーカーの営業はインセンティブの割合が多いため、契約を獲得できている営業とできていない営業では年収に大きな開きがあります。

月1件コンスタントに契約を獲得できているのならば年収1000万円も夢ではありませんが、契約が獲得できていないと年収300万円~400万円にしかならない場合もあります。

大手ハウスメーカーの平均年収は700万円~900万円程度で、営業だけで平均すると平均年収は更に高くなると考えられます。

中小のハウスメーカーに関しては社長の経営方針によって年収に多少の違いがあると考えられますが、それでもコンスタントに契約を獲得できている営業の年収は600万円程度にはなると考えられます。

日本人の平均年収が400万円代であることを考えると十分に高年収な仕事であると言えます。

激務だがアウトバウンド営業は無い

以上のことを勘案すると、ハウスメーカーの営業は休みを安定的に取りにくく、ノルマもあるので激務になりがちだと言えます。ただし、激務だと言っても相場より高い年収を得ることができます。

また、原則インバウンド営業である点にも注目をする必要があります。激務だと言われている営業のほとんどはテレアポや飛び込み営業によって見込み客集めから営業がしなければなりません。

この見込み客集めのステップは効率が悪いですし、精神的にも肉体的にも疲労しますが、ハウスメーカーの営業はこのような営業を行う必要がありません。

よって、激務と言ってもアウトバウンド営業をしなければならない他の業界の営業職と比較すると働きやすい職場であると考えられます。

ハウスメーカー営業のメリット、デメリットをまとめました!

では、ハウスメーカーの営業として働くのはどのようなメリットとデメリットがあるのでしょうか。

ハウスメーカーの営業のメリット

まず、ハウスメーカーの営業のメリットとして挙げられるのが、営業力が身につくということです。

アウトバウンド営業をしなくて良いので、アウトバウンド営業のスキルは身につきませんが、インバウンド営業としては最も高単価な商材を販売している部類に入るので、顧客対応の力が磨かれます。

少ない見込み案件から確実に成約を獲得していかなければならないので、商談の仕方も丁寧になりますし、クロージングの技術もあがります。

また、先ほども説明した通り、ハウスメーカーの営業は営業一人で行うのではありません、設計部門を始めとしてさまざまな部門や外注業者の力を結集しないとお客様に良い提案をすることはできません。

ハウスメーカーの営業として働くことによって、チームで一つのプロジェクトを成功させるためのプロジェクト管理能力も身に着けることがあります。

さらに年収も他の営業職よりも期待することができます。

インセンティブの割合が多いので、他業種の営業や他の職種よりも必ず年収が高くなるとは断言できませんが、平均年収ベースで考えると高給な営業だと言えます。

ちなみの会社によっては、自分が家を建てる際に社員割引で家を建てられることもあるので、メリットと言えばメリットとなります。

また、社員割引が無かったとしても家の目利きができるようになるので、住宅を購入する際にはその経験を活かすことができますし、家づくりのコンサルタントのような働き方をすることもできます。

ハウスメーカーの営業のデメリット

ただし、ハウスメーカーの営業にはデメリットも存在します。

まずデメリットとして挙げられるのが、拘束時間が長いことです。

先ほど説明した通り、基本的に土日は出勤しなければなりませんし、お客様の要望に合わせて通常の営業時間外に商談に行かなければならないこともあります。

もちろん、デキる営業になれば、自分で仕事を調整してスケジュールを組むことができるのですが、初めのうちは激務になりがちです。また、どの営業も大抵そうですが、ノルマがあって達成できないとプレッシャーが掛けられる場合もあります。

ハウスメーカーの営業は直接お客様と対面しているために、クレームを一身に受けやすい立場にあります。

例えば、施工業者の態度が悪かったり、設計のミスで設計図が要望したとおりになっていなかったりしても直接的にそのクレームを受けるのは営業です。

よって、ハウスメーカーの営業は精神的にも大変になりやすい傾向があります。

ハウスメーカー営業に向いている人、向いていない人とは?女性にとって働きやすい?

ハウスメーカーの営業に向き、不向きはあるのでしょうか。また女性でも働きやすい職場なのでしょうか。

ハウスメーカーの営業に向いている人

まず、ハウスメーカーの営業に向いている人の特徴として挙げられるのが肉体的・精神的にもタフであることです。

先ほども説明した通り、一般消費者を相手にして営業するので、土日も営業時間外も働く必要があるので仕事の拘束時間は長くなります。

また、商材が高単価かつチームで仕事をしているので、自身に責任が無いミスでもどうしてもクレームとして受け止めざるをえないときがあります。

このような環境で仕事を遂行できる、肉体的、精神的なタフさが必要になります。

タスク・スケジュール管理能力がある人もハウスメーカーの営業に向いています。

営業はプロデューサー的な役割でお客様に接しているので、他部署や外注にお願いしている仕事の進行状況を、お客様の要望を聞きながら調整する必要があります。

よって、営業は営業だけではなく、提案のおける様々なタスク管理もしなければなりません。

タスクは資料の印刷などの細かいタスクまで含めると量が多いですし、他部門や外注に任せているタスクは自分では早めることはできないので、きちんとスケジュールとタスクを管理しないと営業がグダグダになってしまいます。

きちんと期日までに資料を用意して、確実に契約を獲得するためにはタスク・スケジュール管理能力が求められます。

また、人付き合いが良いに越したことはありません。先ほど説明した通り、多くのハウスメーカーが家を販売すれば終了ではなく、家を売った後のアフターフォローにも注力しています。

きちんと案件を親身にフォローできる人付き合いの良さが営業には求められているのです。

ハウスメーカーの営業に向いていない人

ハウスメーカーの営業に向いていない人は、向いていない人の逆です。

すなわち、精神的・肉体的にプレッシャーに弱かったり、タスク・スケジュール管理ができなかったり、人付き合いが悪い人はあまりハウスメーカーの営業には向いていません。

ハウスメーカーの中には労働組合が無い企業も多いし、給料もインセンティブによって不安定になりがちなので安定して働きたい人は辞めた方が良いでしょう。

女性でも働きやすい職場なのか

以上のような視点を踏まえるとハウスメーカーの営業は女性が働きやすい職場であるということは困難です。出産や育児と仕事を両立しようとするとその勤務体制と激務度がネックになることが多いからです。

ただし、女性が活躍しやすい職場ではあります。家で日常生活の大部分を過ごすのは男性ではなく女性であることが多いので、家を購入する際の意思決定件も自然と女性寄りになります。

女性だからこそ、女性が家で気にするチェックポイントやお客様の家のデザインに関する感性など理解できる部分が多いと考えられます。

このような感覚は男性よりも女性の方が優れていると考えられるので、女性としての強みを武器に営業することができます。

デキるハウスメーカー営業のコツを教えます!

デキるハウスメーカーの営業はどのようなことに気を付けているのかについて説明します。

ライフスタイルからお客様を理解する

ハウスメーカーの営業は家の話だけをしていれば良いわけではありません。

お客様は家が欲しいのではなく、安心できる家庭や子供の健やかな成長のために家を購入するのです。よって、はじめから家の話をしても、お客様の反応はありよくありませんし、具体的な仕様も決まりません。

まずはお客様がどのようなライフプランをしているのか、どのような生活を贈りたいのかなどお客様の価値観を明確にした方が商談は盛り上がりますし、仕様も具体的に決まりやすくなります。

相見積を避ける

また、デキる営業は相見積を避けるのが上手です。

日本の8割のハウスメーカーは中小・零細企業だという説明をしましたが、そのようなメーカーと大手企業は見積もり競争をしたのではブランド力も資本力も違うのでどうしても不利になってしまいます。

デキる営業は商談の中で、上手く先生的なポジションを築いたり、大手企業にはない施工のこだわりやフォロー体制を見せて、単純な価格勝負になるのを上手に避けます。

ハウスメーカー営業をしていると、よくトラブルになる?

ハウスメーカーの営業にトラブルはつきものだという話をしましたが、この部分についてもう少し深く説明します。

なぜトラブルが発生しがちなのか

ハウスメーカーの営業にはトラブルが発生しがちで、高額なだけにお客様の目線もシビアになりがちです。しかし、きちんと契約通り仕事をしているならクレームは発生しないはずです。

トラブルの多くは、約束と違う事をハウスメーカー側がしていた、お客様のイメージと違っていたという2つのパターンから発生します。

約束と違う事をハウスメーカーがしていたという事について、住宅づくりには多くの人が関わりますし、一生に一度の買い物なのでお客様のこだわりも細部に及びます。メーカー側にとっては細かいことで情報伝達ミスは発生しただけだとしても、お客様にとっては大事なことなのです。

また、お客様のイメージと違ったということについて、注文住宅は注文した段階では存在しないので、どのような住宅が納品されるかはお客様にはイメージできません。お客様の期待値をきちんとコントロールする必要があります。

トラブルを防ぐために

トラブルを防ぎためには社内で情報共有を徹底することと、お客様に定期的に家の施工状況をチェックしてもらう必要があります。

例えば、情報伝達漏れは担当者の交替などによる引継ぎミスなどによって発生しますが、徹底的に情報共有ができていればこのようなミスは防げるはずです。

また、契約から引き渡しまでお客様を放置するのではなく、定期的にお客様に施工状況をチェックして貰うことによってイメージとの違いなども回避できます。

アフターフォローをしても営業成績にならないのでフォローが中途半端になっている営業も多いですが、ハウスメーカーにとって契約後引き渡しまでのフォローは意外と重要です。

ハウスメーカー営業に転職する方法を解説!必要な資格、スキルとは?

ハウスメーカーに転職する方法、必要な資格やスキルなどについて説明します。

ハウスメーカーに転職する方法

激務のため離職率が高い業界なので転職は比較的容易です。中小・零細企業まで含まれば求人種類も比較的多い仕事です。

ただし、中小・零細企業の中には待遇があまりよくない会社も含まれているはずなので、会社選びは慎重に行った方が良いでしょう。

採用基準も特に厳しくはないので、きちんとハウスメーカーに就職したいという熱意さえあれば未経験者でも十分に採用される可能性があります。

ただし、年齢によって制限があります。営業未経験の場合は20代での転職が望ましいですし、営業経験者の場合でも35歳までには転職した方が良いでしょう。

ハウスメーカーの営業経験があってきちんと実績を残せているのなら多少年齢的に不利であったとしても採用される可能性じゃ十分あります。

必要なスキルや資格

必ず持っていなければならないスキルや資格があるというわけではありませんが、もちろん営業経験があったり、ハウスメーカーで働いた経験があったりする人の方が選考では有利となります。

また、不動産の賃貸仲介の経験がある人も経験を活かすことができます。

必要な資格として求人によっては自動車免許が必須の場合もありますが、それ以外には必ず必要だと言われる資格はありません。

ただし、家に関する基礎知識があることを証明するために建築士やお客様に家を建てるための資金繰りについてアドバイスできることを証明するためにファイナンシャルプランナー、住宅ローンアドバイザーなどは持っておくにこしたことはありません。

また、ハウスメーカーで特に必要と言うわけではありませんが、不動産一般に関して知識があることを証明するために宅地建物取引主任者の資格を持っていても良いでしょう。

ハウスメーカー営業の辞職理由、よくある転職先とは?

ハウスメーカーの営業を辞職する人はどのような理由で辞職するのか、どのような転職先があるのかについて説明します。

ハウスメーカー営業を辞職する理由

辞職する理由はもちろん人によって違いますが、まず考えられるのが拘束時間に対して待遇が釣り合わないと感じた場合です。

ハウスメーカーの営業は基本的に拘束時間が長い仕事です。さらに契約を獲得できていない場合はインセンティブが少なく、給料も少なくなるので、拘束時間に対して待遇が割に合わないと感じるはずです。

20代前半の就職したての頃はいつか高年収を期待してそれでも働き続けることができますが、年を重ねたり、家庭を持ったりするとすぐにでも待遇を改善したいと考えるようになります。

また、給料はきちんともらっていても、忙しいので家族との時間を十分にとることが困難になります。

以上のような理由から辞める人が多いです。

ハウスメーカー営業の転職先

ハウスメーカーの営業から転職する場合は、基本的に不動産業界内の営業に転職する場合が多いです。

違うハウスメーカーの営業に転職する場合もありますし、すこしゆっくり働きたい人は賃貸仲介の営業に転職したり、より高給を目指す人は投資用不動産の営業に転職したりします。

いずれにしても前職の経験や知識を活かすのならば不動産業界内で転職した方が良いでしょう。