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代理店営業の仕事内容、コツ、年収とは?

代理店営業の仕事内容とは?他の営業とどう違う?

代理店営業とは営業職の一種でその名の通り、代理店に対して営業を行います。

まずは代理店の仕事内容について他の営業職との違いを含めて説明します。

代理店営業とは?

代理店とは、自社の代わりに商品を販売してくれる企業のことを指します。

例えば、代理店を使った営業が盛んな業界としては損害保険業界がありますが、損害保険会社はほとんど自社で損害保険を販売しません。

代理店という保険を自社の代わりに販売してくれる会社と契約して、代理店が契約を取ってくると販売手数料を支払うことによって、損害保険を販売しています。

代理店営業とは、すなわちこのような代理店に対して営業をする営業パーソンのことを指します。相手は企業(個人事業主含む)なのでBtoB営業の一種です。

代理店営業とその他の営業職の違い

代理店営業がその他の営業と違う点についてはいくつかあります。

まず、営業の目的が一般的に異なります。通常の営業職の目的は商品をお客さまに対して販売することですが、代理店はお客様に商品を販売しません。

お客様を見つけてきて、商品を販売するのは代理店なので、代理店にいかに商品を販売させるかが、代理店営業の仕事です。

どちらかと言えば、営業の中でもメーカー営業に近い役割が求められる営業職です。

代理店営業の仕事内容

代理店営業の仕事が、代理店が商品やサービスをきちんと販売できるようにサポートすることです。代表的な仕事としては以下のような内容が挙げられます。

新規代理店の獲得

まず、代理店営業によって販路を拡大するためにはそもそも新規代理店を獲得する必要があります。

もちろん、代理店を開拓すると言ってもどのような会社を代理店にするのかは企業にとって重要なことなので、いたずらにテレアポや飛び込みのような開拓方法はしません。

例えば、展示会やビジネスマッチング会など参加して代理店として協力してくれそうな企業を探したり、インバウンド策を使った集客策がベースとなります。

その中から代理店として活躍してくれそうな企業を探して新規代理店を増やします。

代理店の教育・育成

代理店営業の重要な仕事は、代理店の教育・育成です。

代理店になった企業でもはじめのうちは商品やサービスについて詳しくありません。

どのような企業向けの商品なのか、どのようなメリットがあるのかなど、代理店にはわからないことがたくさんありません。

このような商品・サービスに関する情報を代理店にきちんと伝えて、代理店が商品やサービスを販売しやすいように教育・研修するのが代理店営業の仕事です。

例えば、実際に各代理店を回ったり、代理店合同の研修を開いたりして、代理店が営業するのに必要な知識を提供します。

代理店の営業フォロー

代理店が営業しやすいように、ただ代理店に情報を伝えるだけではなく、ときには直接営業をサポートすることがあります。

例えば、代理店ではお客様のご要望に技術的に対応できない質問が発生したときにお客様に情報を伝えたり、製品のデモのために代理店に営業同行したりする場合もあります。

直接の営業窓口は代理店となりますが、ときには実質的に営業に大きく関わらなければならないケースもあります。

その他業務

その他、代理店に商品を販売してもらうために、代理店営業にはさまざまな業務があります。

例えば、代理店に販売を奨励するキャンペーンや、代理店が販売しやすいように何か特典を付けたり企画的なことをすることもありますし、時には代理店の労をねぎらうために接待することもあります。

代理店営業の種類を解説!

代理店営業にはどのような種類があるのか、代表的な代理店営業について説明します。

保険業界

代理店の仕組みを使って販路を拡大している代表的な業界が保険業界で、特に損保業界は代理店営業が盛んな業種として知られています。

保険会社には代理店営業の部門があって、各代理店の保険販売をサポートしています。保険代理店は企業の中でも比較的事業規模が小さい企業が多く、社長が一人で営業をして奥さんが経理をしているという零細企業も少なくありません。

代理「店」とは言いますが、実質的には営業パーソンの管理職のようなポジションに近い代理店営業です。

広告業界

広告業界も代理店営業が盛んな業種の1つです。

広告代理店は広告媒体を持っている広告主の広告スペースを、広告を掲載したい人に販売する仲介を行う事業者です。広告業界の代理店営業は広告代理店に対して営業します。

広告にはテレビや新聞、雑誌のようなマスメディアから、WEBサイトや検索結果に掲載するWEB広告まで様々な広告がありますが、比較的事業規模が大きい会社が多いです。

技術的な要件などもほとんどなく、クリエイティブは広告代理店が作成してくれることが多いので、代理店に技術的や知識や営業知識を伝えるというよりは、人付き合いとしての営業力が必要になります。

メーカー・IT

メーカーやIT系の業界でも代理店を使って商品の販路拡大をしている場合があります。このようなときに代理店営業として求められるのはどちらと言えば専門性です。

代理店が案件を見つけてくるので、代理店営業は代理店では答えることができない、技術などの専門的な情報についてフォローします。

代理店営業の年収、キャリア、待遇とは?

代理店営業の年収・キャリア・待遇などについて説明します。

代理店営業の年収

代理店営業がどの位の年収なのかについては、勤める会社によってピンキリです。

というのも代理店営業と一口に言っても扱う商材によってビジネスモデルや収益性に大きな違いがあるためにその収入には大きな違いが発生します。

代理店営業が盛んな業界は上で説明した通りですが、保険業界やテレビ業界は平均年収が高いため、高年収が期待できると考えても良いでしょう。

メーカーやITについてはどの会社で働くかによって待遇の差にかなり違いがあると考えられます。

社員数数万人の大企業から数人の大企業まで様々な事業規模の会社が代理店営業をしているので、その会社の事業規模と平均年収にどうしても強く影響を受けてピンキリになってしまいます。

いずれにして営業だから高くなるという事ではない点には注意する必要があります。

例えば、不動産や保険代理店のようにお客様に直接商品を販売する営業のテクニックが求められる業界の場合は、営業の能力によって生産性が大きく変わります。

よって中小企業であっても、インセンティブによって年収が高騰する場合があります。

一方で代理店営業の場合は、個人の営業能力によって生産性が大幅に向上するのではなく、仕組みで収益を上げているのでインセンティブの幅は少なく、収入はその企業の平均年収に大きく影響を受けます。

よって、平均年収が低い企業ならば、当然代理店営業の年収は低くなると考えた方が良いです。

代理店営業のキャリア

基本的には勤めている会社で出世を目指していくことになります。

代理店営業はどちらかと言えば、どの業界に転職しても成果が出せる普遍的な営業スキルではなく、その企業の商品やサービスに基づいて、各企業に特化した営業スキルが身に付きます。

よって、転職するよりもその会社の中でキャリアを高める方がキャリアは安定すると考えられます。ただし、決して転職できないというわけではありません。転職については後述します。

また、ただ代理店営業だけをし続けるのではなく、必要に応じて、その他の部署でもジョブローテーションを行って社内キャリアを高めていくコースも考えられます。

代理店営業は相対的に営業としてのスキルが求められないと言っても、やはり成果を出す営業は成果を出せますし、きちんと評価されて出世のスピードにも影響します。

代理店営業の待遇

代理店営業の待遇は、もちろん給料と同様に各勤務先の企業の一般的な待遇に大きな影響を受けます。

ただし、代理店営業の性質上BtoB営業がメインになるので、BtoCの営業と比較すると、土日祝日がきちんと休みであったり、アポの状況次第で有給も取りやすかったりするでしょう。

一方で、他の福利厚生の条件は勤務先によってバラバラなので、求人票はきちんとチェックしてください。

代理店営業のやりがいとは?メリット、デメリットをまとめました!

では、代理店営業にはどのようなやりがいがあるのでしょうか。メリット、デメリットとともに紹介します。

代理店営業のやりがい

一般的に代理店営業が会社の業績に与える影響は大きいです。

通常の営業の場合、自分の影響が及ぶのは自分が担当している取引先の範囲までですが、代理店営業の場合は、自分が担当している代理店を通じて、様々な企業に対して商品を販売します。

もちろん、代理店の営業力によって販路を構築できているという側面もありますが、代理店が成果を出すためには、代理店営業のサポートが欠かせません。

もし、代理店営業が良くないと、サポートしている代理店はうまく営業ができずに売上が下がってしまうかもしれませんし、最悪の場合は代理店を辞めてしまう可能性もあります。

つまり、代理店営業は会社の売上を支える重要なポジションなのです。大変ではありますが自分が担当している代理店の業績があがったときのやりがいは格別です。

代理店営業のメリット

代理店営業のメリットはいくつかありますが、まず比較的経営者と近い立場で仕事をすることができます。

代理店営業はどちらかと言えば、代理店の一人一人の営業ではなく、その企業の営業管理職のようなポジションの人と連携して、どうすれば一緒に売上を上げることができるかを考えて二人三脚で行動します。

そして、保険代理店が典型的ですが、小さな事業規模の会社だと営業管理職=経営者となっている場合が多いです。

経営者との付き合いから経営に対する考え方や悩み、事業のポイントなど色々な情報を得られるので起業を考えている方には良い職種かもしれません。

また、働きやすいのも代理店営業のメリットです。

基本的にBtoB営業なので休みがしっかりとれることは上で説明したとおりですが、他にもノルマがゆるい会社が多いです。

代理店営業は自社で直接営業しないために、代理店営業自体に厳しいノルマを設定している会社が少ないので営業としては比較的プレッシャーを感じずに働くことができます。

給料などの待遇はその会社によりけりですが、事業規模の大きい会社に就職するとそれだけ高給が期待できます。

代理店営業のデメリット

続いて代理店営業のデメリットについて説明します。営業としては比較的働きやすいですが、もちろんいくつかのデメリットがあります。

まずデメリットとして挙げられるのが自分の頑張りだけで売り上げをコントロールできないということです。

代理店営業の成績は代理店がどれだけ販売したかによって決まるので担当する代理店は成績に大きな影響を与えます。

せっかくやる気があって色々な施策を挑戦してみたいと思っても、代理店が協力してくれないと売上は上がりません。

また、自分で営業するよりも、営業の仕方を相手に教えるというのは難易度が高いです。

自分で商品を直接販売する場合、自分で成功や失敗の体験を肌感覚で掴むことができますが、代理店営業は代理店に受注させる必要があります。

営業としての経験がないと、つい的外れな営業施策を提案してしまったり、代理店から邪魔モノ扱いされてしまったりすることもあります。

また、代理店営業と消費者への直接営業のスキルは別です直接営業を経験してから、代理店営業に転職すると直接営業での経験を活かすことができますが、代理店営業の経験を直接営業に活かすことは困難です。

営業管理職としてのスキルは身につけられるかもしれませんが、営業職としてのスキルは代理店営業では身につきにくいのです。

代理店営業に向いている人、向いていない人とは?

代理店営業に向いている人と向いていない人にはどのような違いがあるのでしょうか。

代理店営業に向いている人

代理店営業は代理店にとって参謀のようなポジションになります。よって、きちんと参謀としての仕事をこなせる人が代理店営業に向いています。

参謀に向いている人の特徴はいくつかに分解することができますが、情報分析能力に長けている、課題解決能力がある、粘り強いなどの特徴があります。

情報分析能力に長けている

代理店が抱えている問題はその会社によって異なります。

よって、代理店営業はまずその会社の情報を整理して、どのような事が得意で何に問題を抱えているのかを把握する必要があります。

単純に商品の知識が足りていないのか、販促ツールが不十分なのか、それとも営業経験が浅い営業が多くて成果を出せていないのか、代理店営業はその代理店が抱えている課題を見つける必要があります。

また、課題を見つけるだけではなく、社長の指導力があるので社長がきちんと社員に情報共有すればしっかり実践してくれる会社だ、とか、地場の●●系の業界に大きな影響力を持っているのようにその会社の良い所も分析する必要があります。

課題解決能力がある

情報を分析するだけでは、代理店の業績は良くなりません。

分析した結果に合わせて課題解決の方策を提案する必要があります。よって、代理店営業には課題解決能力が求められます。

例えば、代理店の商品知識が薄くて上手く販売できないならば個別に商品に関する研修をしたり、営業管理がきちんとできていないならば営業管理の手法を提案して、時には営業会議に参加したりと代理店が抱えている問題を解決します。

粘り強い

自分で営業するよりも他社に営業させることの方が難しいです。せっかく良い提案をしても、代理店次第ではうまく実行されずに成果が出せないことも多々あります。

このようなことから、上手くいっていない代理店の業績をあげるためには、自分で直接営業する以上に様々な試行錯誤が求められます。

いくら施策が失敗しても諦めずに粘り強い代理店をサポートする能力が代理店営業に求められます。

コミュニケーション能力

また、通常の営業よりもコミュニケーション能力が求められるのが代理店です。

新規の顧客をたくさん開拓するのと、1社の代理店と深く付き合うのには別の能力が求められます。

代理店がある意味で中間管理職のようなポジションです。会社から代理店に成果を出させるように言われていて、一代理店がきちんと成果を出せるように管理をしなければなりません。

意外と代理店のモチベーションに影響するのが担当している代理店営業との相性です。代理店営業との相性が良いと、少し無理をしてでも商品を売ろうかという気になりますし、積極的に商品情報や知識も身につけます。

代理店にモチベーションを高く保ってもらうためには、代理店営業がきちんとコミュニケーションする必要があるのです。

代理店営業に向いていない人

続いて代理店営業に向いていない人の特徴について説明します。

向いている人の所で説明したような、情報分析能力、課題解決能力は後からでも身につけることができますが、粘り強さはどちらかと言えば本人の資質になるので、あきらめが早い人はあまり代理店営業には向いていないでしょう。

また、あくまでも商品の販売という工程全体で考えると黒子のようなポジションなので、自分で直接営業したい、営業力を身につけたいという人は代理店営業ではなく、直接営業の職種に転職した方が良いかもしれません。

デキる代理店営業のコツを教えます!

デキる代理店営業が実践しているコツについて説明します。

成功事例をきちんと積み重ねる

代理店の課題はそれぞれですが、俯瞰して考えると共通点がある場合も多いです。よって、ある代理店の成功事例はアレンジすれば別の代理店にも適用することが可能です。

デキる営業のコツは、この成功事例をきちんと積み重ねていることです。

自分が知っている成功事例が多くなればなるほど、そのノウハウによって代理店の営業を成功させられる可能性が高くなるからです。

デキる営業になるためにぜひ成功事例を集めることを意識してください。

管理効率を意識する

管理の効率を意識することも大切です。

1人あたり何社の代理店を抱えるかは企業の方針によって様々なですが、意外と代理店を管理するのには手間がかかります。

放置気味の代理店があるとその代理店の売上は下がるかもしれませんし、最悪の場合は代理店を辞めてしまうかもしれません。また、有力代理店にモチベーション高く営業してもらうためにもフォローを欠かせません。

このように既存代理店をフォローしながら、必要に応じて新規代理店の獲得をしなければならないので、突き詰めて考えると代理店営業の業務量は膨大になります。

代理店営業はこのような膨大な業務の中から自分がやるべきことを取捨選択して効率的にフォローする必要があります。

デキる代理店営業は管理の効率性を意識しながら、代理店が最大限に業績を上げられるようにフォローしています。

代理店営業への転職方法を解説!必要なスキルとは?

代理店営業にはどのように転職すれば良いのでしょうか。必要なスキルとともに紹介します。

選ばなければ比較的求人は豊富

代理店営業は、色々な業種、業界で行われている営業手法なので、求人を選ばなければ、求人サイトなどでも比較的簡単に見つけることができます。

メディアや保険などの大手企業に入りたければ、もしかすると求人倍率が高かったり非公開求人になっている可能性も考えられるので転職エージェントを利用した方が良いでしょう。

いずれにしてもインセンティブの割合が少なく、待遇がその会社によってバラバラであることが多いので求人情報を1つ1つきちんと吟味した方が良いです。

代理店営業に転職するためには

求人の数が多いので、比較的未経験からでも転職できる可能性がありますが、もちろん持っていると採用されやすい経験やスキルはあります。

採用されやすい人の特徴として、まず挙げられるのが代理店営業としての経験があることです。

代理店営業は普通の営業と異なり、代理店のマネジメント能力などはもちろん経験者の方が高いです。

また、同じ業界で代理店側で成果を出していた人も採用されやすいでしょう。

代理店営業は代理店に成果を上げてもらうために色々なフォローをしなければなりませんが、代理店として活動した経験がないと、ときにアドバイスは机上の空論になってしまいます。

代理店の営業としてきちんと成果を残した人の方が、代理店営業としてきちんと現場に即したアドバイスを行いやすいです。

代理店営業からよくある転職先とは?

代理店営業からはどのような転職先が考えられるのでしょうか。

まず、考えられるのが、他の企業の代理店営業になる場合です。

先ほども説明した通り、代理店営業として培った能力は他の業界の代理店営業に転職しても活かすことができます。

同業界の代理店営業から代理店営業の方が転職できる確率は高まりますが、異業種の代理店営業から代理店営業も十分に可能でしょう。

また、代理店営業とフランチャイズの営業、メーカー営業も似たようなスキルが求められますので、代理店営業からメーカー、フランチャイズ本部への営業もよくあるパターンだと考えられます。

代理店営業から代理店側に転職するパターンも考えられます。代理店の経営者にとって気になるのが、代理店と契約しているメーカーなどはどのように代理店についてどう考えているかということです。

そして、代理店でも規模が大きくなると、営業管理職を採用しなければならないので、代理店営業として経験を積んだ人間を採用する場合があります。

ただし、この場合は業種が同じでないと少し厳しいかもしれません。代理店営業から違う業界の直接営業に転職する場合、経営者から見た場合、その人材を雇うメリットがあまりないからです。

いずれにしても、代理店営業としてきちんと結果を残すことができれば、転職先にはさまざまな選択肢があると考えられるので、まずは代理店営業として代理店を指導して、結果を残すことを意識した方が良いです。