営業理論

「営業」を一括りに捉える落とし穴

なぜ「営業」が転職で成功/失敗するのか

あなたの周りで、トップセールスマンと呼ばれていたが、転職をきっかけに全く売れなくなった人はいませんか?また反対に、あまり活躍していなかった営業パーソンが、転職先で好成績を挙げたことを耳にしたことありませんか?

なぜ、このようなことが起こるのでしょうか。

確かに、転職は生活環境や人間関係が大きく変わるためそれらの影響がないとはいえないでしょう。しかし、転職を契機に一変する営業パーソンは少なくなく、その頻度は他の職種と比較して多い傾向にあります。

結論から言えば、これらの原因は、「異なる職種に転職したこと」にあります。表層的には同じ営業職での転職ですが、実は別の仕事内容をしているのです。そのため、前職ではうまくいった/いかなかったにも関わらず、現職では逆にうまくいかなった/うまくいったというようなことが発生していたのです。

営業と一言で言っても仕事内容は異なります。企業の問題を捉え解決に導くような営業もあれば、関係各者との間で納期や数量を調整するコーディネーターのような営業もあります。
にもかかわらず、営業は今日まで一括りに考えられてきました。一部、提案営業やルートセールスなどの言葉を用いて、分類を試みたものはありますが、営業全体を体系的に整理された理論は、世の中に未だ存在していません。

そのため、自身の営業分類を適切に把握することなく、転職やスキル育成が行われることとなり、結果として今まで培った営業スキルが活かしきれない、学んだスキルが活用出来ないといった状況を引き起こすことになってしまいます。

また、これらのことは現場の営業パーソンが思うように成果を出せず、疲弊してしまうことにも繋がりますし、企業レベルで見た場合には、受注の伸び悩み、成長の鈍化を招く原因ともなってしまいます。

だからこそ、「営業」を分類して捉えることが必要なのです。

分類は的確な対策を可能にする

では、なぜ分類が必要なのか、分類することによってどういった効用が生まれるのか。
少し目先を変えて、「陸上選手」を例に見ていきましょう。

目の前に陸上選手が現れ、思うように記録が伸びないと相談された場合、あなたはどのようなアドバイスをしますか。

  • 体力トレーニングを薦める
  • メンタルを鍛える
  • 実践練習を増やす
  • テクニックを磨く

色々なアドバイスがあると思いますが、まずは陸上の「種目」を確認するのではないでしょうか。「陸上選手」と言っても、100m選手とマラソン選手では、記録が伸び悩む原因も適切な対策も変わってきます。

【パターン①】
100mの選手がスタートダッシュからのトップスピードに至るまでの時間がかかり悩んでいる場合:スタートのフォームや足の入りの矯正を行う

【パターン②】
マラソン選手で終盤にペースダウンが発生してしまう場合:スタミナが継続できるように心肺機能のトレーニングを行う

このように分類して考えることで、より正確に現状や原因を把握でき、的確な対策を行うことができるのです。「陸上競技」に対する対策と、「100m走」に特化した対策では、後者が成果につながりやすいのは容易に想像できるでしょう。

分類のない特殊な「営業」

一方、これを「営業」に置き換えるとどうでしょう。
取引先や友達の営業パーソンから「売れない」と相談されたとき、適切な分類がされることなく、アドバイスや対策が語られています。また、書店に並んだ本を見ても「営業」という一括りで対策やテクニックが紹介されています。

それにより、適さない分類の本を読み、実践しているケースが少なくありません。

このように、「営業」と一括りに捉えられることで様々な問題が生まれています。「陸上選手」というカテゴリ範囲が広すぎるのと同様、「営業」というカテゴリも指し示す内容が多岐にわたり、分類して扱うことが必要です。

営業が特殊であることはマーケティング領域における職種である「マーケター」と比較してもわかります。「マーケター」の世界では、利用媒体によって業務内容が大きく異なるため、WEBマーケターやメディアマーケターなど細分化して扱われるのが一般的です。「マーケター」と一括りで捉える人は、むしろマーケティングをよく知らない者として見られます。

そのため、営業職として求人を出す営業に比べ、マーケティングの職種ではWEBマーケターやメディアマーケターなど、明記された求人を多く見かけます。

このように、当たり前のように分類されて考えられる「陸上選手」や「マーケター」ですが、「営業」の世界では分類されない状況がまかり通っているのです。

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