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アパレル営業の仕事内容や年収とは?正社員の求人はある?

そもそもアパレル営業とは?仕事内容を解説!勤務先・営業先はどこ?

まずはそもそもアパレル営業とはどのような仕事なのか、仕事内容について解説します。

ショップ店員=アパレル営業ではない

まず、アパレルの営業として真っ先に思い浮かぶのが、ショップでお客様を接客してアパレル商品を販売しているショップ店員です。しかし、一般的にはショップ店員を指してアパレル営業と呼ぶ事はありません。

アパレル営業とはメーカーや商社・卸問屋で販路開拓をしている営業パーソンのことを指します。

アパレルの商流と営業

これについて説明するために、アパレルの商流について大まかに説明します。

まず、商品の企画・開発を行うメーカーが存在します。メーカーが開発したアパレル商品の消費者への供給方法は大きく分けて3つ存在します。

1つはメーカーが直接販売する方法です。ユニクロやZARAがこの業態で商品を販売していて、この流通形態はSPAモデルとも呼ばれています。この場合、店舗開発を行う人材は必要ですが、いわゆる営業は存在しません。

続いて考えられるのが、メーカーが直接商品を小売店に販売している場合です。このときにメーカーは小売店を開拓する為に営業が必要となります。これがアパレル営業のパターンの1つです。

3つ目に考えられるのが、メーカーが商社や問屋に商品を卸して、そこから小売店に商品を販売している場合です。この場合、メーカーから商社や問屋に営業するときにも営業が必要になりますし、商社や問屋が小売店に商品を供給するときも営業が必要になります。

アパレル営業の仕事内容

アパレル営業の仕事は大きく分けて、新規開拓と既存顧客のフォローがあります。

新規開拓とは自社の商品をまだ取り扱っていない小売店に対して取り扱ってもらえるように交渉することです。

営業の仕方はさまざまです。単純に飛び込みのようなアウトバウンド手法で販路を開拓することもあれば、展示会などに出展して、そこで作った見込み案件に対して営業を仕掛ける方法もあります。

またブランド力の強いメーカーの場合は、自然と小売店の方から取り扱わせてもらえないかと商談が発生することもあります。

既存顧客のフォローについては、単純に商品を仕入れませんがという勧誘をすることもありますし、力を入れている取引先の場合、営業が直接店舗の商品の陳列に関わることもあります。

メーカーや問屋の営業は、結局小売店に商品を販売してもらえないと、追加の注文がもらえないので、小売店が商品を販売できるようにサポートするのが重要な仕事です。

アパレルか否かを問わずに、多くの消費者向けの商品を取り扱っているメーカーにも同様のことが言えます。

また、メーカーによっては商品の販売キャンペーンの立案や商品企画などについても営業が関わることがあります。

アパレル営業の勤務地・営業先

アパレル営業の営業先は多くの場合、問屋や小売店の商品部などの仕入れを担当している部署になります。

問屋や小売店の仕入れを担当している部署に対して新商品の紹介を行うのですが、発注が来るのは仕入れを担当している部署とは限りません。

小売店の場合、タイムリーに適切な商品が仕入れられるように店舗毎に仕入れ権限を委譲している場合も多いので、必要に応じて店舗に対して商品の納品に行ったり、陳列や販売のサポートをしたりする場合があります。

勤務地については会社の方針によります。営業所を全国に設置して、全国の営業所毎に活動範囲を区切って小売店などのフォローをしている場合もありますが、東京にしか会社が存在しない場合もあります。

その場合は、必要に応じてアパレル営業は日本全国に出張して営業する必要があります。

アパレル営業の給料・年収はどれくらい?一般的なキャリアについても解説します!

では、アパレル営業の給料はどの位もらえるのでしょうか。また一般的なキャリアはどうなっているのでしょうか。

アパレル営業の給料

アパレル業界は一般的にあまり給料が高くないと言われています。アパレル業界は価格競争も激しく利幅が薄く、かつ多少待遇が悪くともアパレル好きの人材が集まるため待遇があまりよくありません。

転職サイトのデータを見るとアパレル営業の年収は安くて年収350万円程度から高くても年収600万円が目安になると考えられます。

例えば、大手アパレルメーカーのワールドでも平均年収600万円、三陽商会でも年収650万円程度です。

他の業界なら営業はインセンティブによって他の職種よりも高給になることはよくありますが、アパレル営業はインセンティブが付きにくいので、営業だけに限定しても突出して全体の平均年収よりも高くなることは無いと考えられます。

アパレル営業の待遇

細かな待遇は会社によってもピンキリですが、アパレル営業はショップ店員と違い基本的にBtoBなので土日にしっかりと休みが取りやすいです。

また、特に繁忙期にでもならない限り、仕事が発生する要因もないので営業の中でも比較的残業が少ないと考えられます。ただし、必要に応じて、土日に取引先の小売店の応援に行ったりすることもあるので注意してください。

もちろん一般論として収益を上げている会社ほど、社員の福利厚生や給料に使える原資が増えるので待遇はよくなる傾向にあります。

アパレル営業のキャリア

基本的にはあまり転職市場が発達していない業界ですし、営業経験を積むことにとって得られるスキルも他の業界で活かせるような汎用的な営業力ではありません。

よって、その社内で出世していくのが一般的なキャリアになります。

営業職と言ってもずっと営業職として働くのではなく社内キャリアのためにデザイナーやパタンナーなどの専門技術職を除いてさまざまな部署にローテーションする可能性があります。

ただし、一度会社に入ると転職できないというわけではありません。これについてはアパレル営業からの転職先について紹介する章で詳しく説明します。

アパレル営業が向いている人の特徴を解説!必要なスキルとは?

では、どのような人がアパレルに向いているのか必要なスキルと共に紹介します。

アパレルが好きな人

まずアパレル営業に向いている人の第一の条件として挙げられるのが、アパレルが好きなことです。

アパレル業界の営業は決して他の営業と比較して待遇面で恵まれているとは言えません。その割に毎年のトレンドや、自社の売れ筋の商品のこと、各小売店の販売状況などさまざまなことを覚えたり、考えたりする必要があります。

これを仕事と割り切ってこなすのが意外と大変です。仕事と割り切ってこなす人よりもアパレルという商品が好きで自分から積極的に情報収集して、商品提案について改善策を考えられる人がアパレル営業に向いています。

小売の現場に詳しい人

また、小売りの現場に詳しい人の方がアパレル営業に向いています。

アパレル営業の相手先は問屋や小売店ですが、最終的に商品を購入するのは消費者です。

よって、アパレル営業は小売店に商品を販売して儲けてもらわないと、継続的に商品を販売することはできません。

小売店に儲けてもらうためには、販売を小売店に丸投げするのではなく、メーカーや問屋が小売りの現場について詳しく知っている必要があります。

例えば、小売店毎の販売傾向に合わせて提案する商品を変えてみたり、小売店が商品をより販売できそうなキャンペーンを立案して、小売店に対してメーカー協力をしてみたりなど、小売店を設けさせる工夫をする必要があります。

コミュニケーション能力が高い

コミュニケーション能力が高い人も営業に向いています。

アパレルの営業には感覚的な要素が付きまといます。例えば、機械などの営業の場合は、商品を導入することによって得られる効能をロジカルに説明すれば商談ができます。

しかし、アパレルの営業は機能によってロジカルに商談を進めることはできません。トレンドに合致している、売れ筋であることは説明できても最終的にその商品を仕入れるか否かはバイヤーがその商品を気に入るか否かが大きな影響を与えます。

このときの商品の印象は商品自体だけではなく、商品について説明する営業の印象にも大きく影響を受けます。信頼できそうな営業が説明すれば、一見したところ魅力が低い商品も魅力的に思えてくるのです。

よってバイヤーに良い印象を持ってもらえるコミュニケーション能力の高さが営業には必要になります。

アパレル営業に必要なスキル

アパレル業界に営業において能力を証明する資格のようなものは存在しませんし、何かとてもテクニカルなノウハウが必要になるわけではありません。

重要なのは先ほどからの説明でも上がっている、小売りの現場を知っていることであったり、コミュニケーション能力が高いことです。

未経験でもこれらのスキルを備えていれば、転職してもすぐにアパレル営業として成果を出せる可能性があります。

また、たくさんの店舗に対して在庫を持って訪問するような営業の場合、自動車免許が必須で求められることもありますし、海外展開を積極的に行っているメーカーの場合、英語でコミュニケーションがとれることが求められる可能性があります。

アパレル営業のやり方・コツを解説!上手い人の秘密とは?

ではアパレル営業はどうすれば良いのか、上手い人が実践しているコツとともに説明します。

重要なのは欠品管理

先ほどから説明しているとおり、アパレル営業の仕事で大切なことは小売店や問屋に儲けてもらうことです。

そして、小売店や問屋が最も嫌い、儲けの機会損失が発生するのが商品の欠品です。

メーカーに商品を発注したのに、製造の都合や出荷ミスなどによって商品が予定日までに届かなかった場合は大変です。

小売店はせっかくその商品のために用意していた棚割りを変更する必要がありますし、場合によってはセールのチラシを撒いたのにセール品が存在しないという事態になります。

また、小売店側のミスで商品の在庫が無くなって、棚だけあるのに在庫が無い状態でも機会損失が発生します。

アパレル営業として成果を上げるための第一歩は小売店や問屋に対して商品が欠品しないように管理することです。

売れている商品が欠品しそうならば、小売店に対して難しい商談をしなくても簡単に受注が獲得できますし、きちんと収益に貢献してくれる営業ということで小売店は高く評価してくれるでしょう。

商品提案をきちんとする

また、商品提案をきちんとする必要があります。

問屋や小売店に言われるがままに発注された商品を納品しているだけなら、問屋や小売店に交渉の主導権が握られてしまいますし、同じような商品を販売しているメーカーや商社に相見積を取られて価格勝負に陥るかもしれません。

商談の主導権を握るために必要なのはアパレル営業側から問屋や小売店にきちんと商品提案をすることです。

はじめのうちはただ新商品を紹介するだけでも、繁盛店の売れ筋商品を紹介するだけでもなんでも良いので、商品やキャンペーンの提案を営業側から行って、問屋や小売店に営業の付加価値を感じてもらう必要があります。

良い印象を持ってもらえるように身だしなみや立ち振る舞いに注意する

先ほどコミュニケーション能力の部分でも説明したとおり、アパレルの商談は最終的にバイヤーがその商品を気に入るか気に入らないかで、商品の印象はプレゼンをするアパレル営業の印象によって大きく変わります。

例えば、いくら良い商品であったとしても、自分がオシャレではないと思う見た目のアパレル営業が提案している商品は売れそうにないように思えますし、逆もまた然りです。

デキる営業ほど、バイヤーに良い印象を持ってもらいやすいように、身だしなみや立ち振る舞いに注意しています。

アパレル営業のやりがいとは?メリット・デメリットをまとめました!

では、アパレル営業にはどのようなやりがいがあるのでしょうか。メリット、デメリットと共に解説します。

アパレル営業のやりがい

アパレル営業のやりがいは、好きなアパレルの仕事に関われるということです。

特に自分が好きなブランドの営業をしていると、ブランドの最新の商品をいち早くチェックすることができますし、その商品が自分の力によって売れたときはとても良い気分になります。

アパレルという商材が好きな人にとってはとてもやりがいのある仕事です。

アパレル営業のメリット

アパレル営業のメリットとして挙げられるのが、小売りに関するノウハウが身につくことです。

アパレル営業は立場上さまざまな商品の販売状況をチェックできますし、小売店を訪問することによって、各社の陳列方法に違いやどのような販促をしている店が売れやすいのかなど自然と小売りに関する知識が深まるようになります。

このような知識は貴重で、小売業に転職してこのような知識を活かす人もいますし、独立してアパレル業のコンサルタントとして店舗販促の手法に関してコンサルティングを行えることもあります。

また、会社によっては社員割引で取り扱っている商品を購入できる場合もあるので、好きなブランドに勤めている場合がそれもメリットになるかもしれません。

アパレル営業のデメリット

アパレル営業にはデメリットも存在します。

まず挙げられるのが他の営業と比較して待遇が良くないことが多いことです。

先ほども説明した通り、商品のブランド力によって売上は変わりますが、営業のテクニックによって営業成果が大きく変わるわけではありません。よってインセンティブが付きにくいので頑張りによって大きく年収があがることはありません。

またアパレル産業はプレイヤーが多いため、一部のハイブランドを除けば基本的に価格競争に陥りがちで、収益をあげるのが困難な業界です。

よって、営業職の割に給料が低い傾向があります。

また、どこの業界に行っても通じるような普遍的な営業力が身につくわけではないので、一定の年齢を過ぎると異業種への転職が厳しくなる傾向があります。

アパレル営業が無くなるって本当?そう言われている理由を教えます!

アパレル営業はいずれ必要なくなるのではないかと言われることがあります。なぜそのように言われるのか、理由について考察します。

アパレルの流通チャネルの変化

アパレルの流通チャネルはITの進歩によって変化しています。昔はアパレルの流通チャネルと言えば、メーカーから小売店や、メーカーから問屋、商社を介して小売店という流れが一般的でした。

しかし、この商流は崩壊しつつあります。

時代はメーカーからの直販に切り替わりつつあります。現代のアパレル業界で成功しているZARAやユニクロはSAPモデルによって自分達で小売店を作って販売しています。また、インターネットを使った直販ブランドも増加してきており、これらはD2Cモデルと呼ばれています。

更に小売店側がプライベートブランドを作ってメーカー化する傾向があります。例えばZOZOやイオンなどは近年アパレルのプライベートブランドを作って積極的に販売しようとしています。

このように直販が増加すれば、流通の間をつなぐ営業の役割は無くなってきてしまいます。

営業の付加価値

また、営業の付加価値もどんどんなくなっています。

昔は商品のトレンドや売れ筋、効果的なキャンペーンの手法などはメーカーと一部の小売店しか知らない情報でしたが、今はインターネットによってこのような情報は同業者の間ですぐに共有されやすくなっています。

さらに、注文も営業担当に発注しなくても、インターネットによって行えるようになっているので、自分で売れ筋を分析して欠品管理ができるのならばわざわざ営業から商談を受ける必要もなくなってきています。

このようにこれまでアパレル営業が持っていた付加価値がITの普及によって相対的に価値が無くなってきているのが、アパレル営業がなくなるのではないかと言われる理由です。

アパレル営業に転職する方法とは?正社員の求人はある?

アパレル営業にはどのように転職すれば良いのでしょうか。正社員の求人はあるのでしょうか。

基本的に正社員採用

まず、アパレル営業の求人は基本的に正社員です。

ショップ店員の場合はアルバイト、派遣社員のような雇用形態であることも多いですが、アパレルメーカーや問屋にとって営業は重要な仕事なので正社員として採用します。

アパレル営業への転職方法

まず、アパレル営業は待遇が決して良いわけではないので、求人は見つけることができますし、転職も比較的容易です。未経験でも十分に採用される可能性があります。

もちろん未経験よりもアパレル営業の経験者や、法人営業、アパレルのショップ店員などを経験した人材の方が選考においては有利に扱われる可能性があります。

ただし、一般的に待遇が良くない会社が多く、取り扱っている商品のブランド力によって、営業のしやすさや待遇が違うことが多いです。

できるだけ良い待遇の会社に転職するために企業研究を自分で入念に行うか、転職エージェントと相談して条件の良い会社を探して就職した方が良いでしょう。

また、志望動機などをきちんと説明するために、取り扱っている商材についてもきちんとチェックしてください。

アパレル営業の仕事経験が活かせる仕事とは?主要な転職先をまとめました!

続いて、アパレル営業から転職する場合、その経験を活かす転職先としてどのような候補があるのかについて説明します。

基本的にはアパレル業界内で転職

まず転職先として挙げられるのがアパレル業界内の会社です。違うメーカーや商社、小売店に転職するのがオーソドックスな転職パターンです。

アパレル営業で得られる知識はやはりアパレル業界内の方が活かしやすいです。新規開拓もありますが、アパレル営業はルート営業が多くシビアな商談を経験することも少ないので他の営業力が求められる業界の営業に転職しても経験は活かしにくいと考えられます。

アパレル業界内の会社に転職してアパレル営業として培った経験や知識を活かす方が良いでしょう。

メーカー営業に転職する

異業界に転職したいという場合はメーカー営業から転職先を選んだ方がアパレル営業としての経験を活かしやすいです。

アパレルメーカーもメーカーの一種と言えばメーカーの一種ですし、メーカー営業同士で似ている部分もあります。

ただし、商流によって営業手法に差が出るので、できるだけアパレルに近い流通チャネルの業界のメーカー営業を狙った方が良いでしょう。

例えば、BtoB系の商材や材料メーカーの場合、営業ターゲットは小売店になりにくいですし、企業と個人では購入に関する意思決定が違うのでメーカーと言っても営業手法は異なります。

日用品や食品はアパレルと同じような商流になっている場合が多いので、転職の際にはこのようなメーカーを狙うと良いでしょう。

アパレル営業に転職する際の志望動機の書き方を解説!

最後にアパレル営業に転職する際の志望動機の書き方について解説します。ポイントは商材愛、活躍可能性、合理的かつ真実味の3つです。

商材愛をアピールする

アパレル業界に転職したいという人は少なからず、アパレルという商材が好きなはずです。また、さまざまなブランドからそのメーカーや商社に転職を狙っているということは、少なからずそのブランドに魅力を感じているはずです。

アパレルの営業として活躍する人はアパレルやそのブランド自体が好きなことが多いので、転職の際もそのメーカーや商社をなぜ選んだのかを、自分が感じる商品の魅力を絡めながら説明した方が良いでしょう。

活躍可能性

もう1つアピールするべきは活躍可能性です。

例えば、前職で法人営業として成果を上げた、ショップ店員の経験があるなどアパレル営業として活躍できそうな要素がある場合は志望動機でさりげなくアピールした方が良いでしょう。

志望動機であって自己PRではないので直接的なアピールはできませんが、例えば
「前職で法人営業をした経験から、アパレルという商材の法人営業に興味を持ち」
「店舗でアパレル販売していた時から、このブランドが好きで」
というように志望動機に絡めて間接的にアピールしてください。

合理的かつ真実味を持って書く

最後に、志望動機を書く際には合理性と真実味が必要になります。

どこでも良いから就職したいがためにひねり出した志望動機はどこか似通っているので採用担当者は志望動機をみればだいたい本気度が予想できます。

採用担当者を納得させる志望動機を書くためには、前職から志望企業に転職することがキャリアの志向から妥当であること、中身に不自然な内容が混じっていない、志望動機の欄は狭いので詳しい内容が面接で検証できそうなことが重要です。