自動車ディーラー営業の仕事内容とは?
まずは自動車ディーラーの仕事内容について説明します。
自動車ディーラーとは?
自動車ディーラーとはメーカーと特約店として契約をした自動車販売店のことを指します。
すなわち、自動車販売店の中でも特約店として特定のメーカーに特化して自動車を販売しているのが自動車ディーラーです。
特定の自動車メーカーの特約店とはならず、様々なメーカーの自動車を販売している会社はサブディーラーと呼びます。サブディーラーは自社で中古自動車を仕入れたり、ディーラーから自動車を仕入れたりして、お客様に自動車を販売します。
また、海外には複数のメーカーの自動車を特約店として扱う、メガディーラーという業態も存在しますが、日本には現在のところメガディーラーは存在しません。
自動車ディーラーには、メーカーが直接経営している会社もありますが、国産の自動車メーカーのディーラーはほとんど別資本の会社になっています。
すなわち、トヨタカローラのディーラーであってもトヨタの子会社であるとは限らず、別資本の会社であるので、ディーラーに入社した=そのメーカーの子会社に勤務しているとはならないので注意してください。
本記事では、特に注意が無い限りディーラーもサブディーラーも合わせて自動車ディーラー営業と呼びます。
自動車ディーラー営業の仕事内容
自動車ディーラーはお客様のカーライフをサポートするために色々な業務を行う必要があります。営業はディーラーの顔としてお客様の接客対応を行います。
ディーラー営業の仕事は大きく分けて2つに分かれます。1つは自動車を販売すること、もう1つは販売したあとのアフターフォローです。
自動車の販売
自動車ディーラー営業はお客様に対して自動車の販売をします。
もちろん、飛び込んだり、テレアポをしたりして自動車を販売することはありません。多くのディーラーでは反響営業で自動車を販売しています。
すなわち、チラシやWebなどディーラーのショールームやイベントに誘導して、そこで自動車の購入に興味を持ったユーザーに対して営業をするのが一般的です。
基本的にはショールームで営業しますが、一部の大口顧客や法人顧客については外回り営業することもあります。
自動車ディーラー営業は、来店したお客様を接客して、要件を整理して、お客様のご要望にあったご提案をして自動車の購入を促します。
ちなみに自動車ディーラーで販売するのは単に自動車だけに留まりません。自動車保険やJAFへの加入など、自動車に付帯する様々なサービスについても販売しており、自動車ディーラー営業はこのような商品についても勧誘します。
アフターフォロー
自動車は販売してそれで終わりという商品ではありません。販売した後も、車検や保険、買い替え、下取りなどさまざまなイベントが発生します。
特に近年は国内の新車販売台数の減少から、ただ新車を売るだけではなくこのようなアフターマーケットに力を入れる自動車ディーラーも増加しています。
自動車ディーラー営業は、ただ新車を販売するだけではなく、お客様をきちんとアフターフォローして、車検などの追加案件もきちんと受注することが求められます。
自動車ディーラー営業の給料、キャリア、待遇とは?
では、自動車ディーラー営業の給料やキャリア、待遇はどうなっているのでしょうか。
自動車ディーラー営業の給料
まず、自動車ディーラーの営業にはノルマとインセンティブがあります。よって給料は、インセンティブをどの位貰えるかによって変動します。
ただし、いくらインセンティブがあったとしても、不動産や保険ほど高めのインセンティブがあるわけではありません。
転職サイトで確認する限り、固定給は月給15~30万円程度、インセンティブやボーナスまでを含めて、400~600万円程度になる求人が多いと考えられます。
年収事例には1,000万円を超えている、事例も存在しますので、成功すれば高収入が期待できると考えられます。
ただし、基本給は低く設定されていることが多く、一般的に高年収と言われる仕事でもないため、求人をチェックする際は年収例を確認するだけではなく、どのような内訳なのかについてもチェックするようにしてください。
自動車ディーラー営業のキャリア
詳しくは後述しますがノルマもあり、労働時間も長くなりがちなので、離職率も高い職場です。
よって、自動車ディーラーとしてキャリアを積んで出世していく人もいますし、他の職業に転職する人もいます。どのような職業に転職するのかは後述します。
自動車ディーラーとしてキャリアを積む場合は、基本的にヒラから始まり、主任係長、営業課長とキャリアを高めていきます。
そして、特に優秀な人間は店長になります。店長になると自分の営業成績ではなく、店舗全体の売上向上や人材育成が求められます。
大きい会社になると、店長から更に地域を統括するエリアマネージャーになって、役員へと出世していきます。
ただし、マネージメント職になると、個人で営業を頑張ってもインセンティブが貰いにくいので、マネージャー職になるのではなく、あえて現場の営業職として活躍し続ける場合もあります。
必要に応じて、他の店舗に配置転換が行われることもあります。
自動車ディーラー営業の待遇
自動車ディーラー営業の待遇について、もちろん企業によっても待遇は異なりますが、基本的には忙しくなりやすいです。
土日に来店する人も多いため、土日は基本的に働く必要があります。また、お客様のご希望の納車タイミングによっては夜にお客様の家を訪問することもあります。新年初売りなどのイベントをしている販売店も多いので正月休みではない場合もあります。
自動車ディーラー特有の福利厚生として、自社の取り扱っている自動車を購入する場合は割引で購入できる場合もあります。
自動車ディーラー営業のやりがいとは?メリット、デメリットまとめました!
自動車ディーラー営業にはどのようなやりがいがあるのか?また、メリットやデメリットについてもまとめます。
自動車ディーラー営業のやりがい
自動車ディーラー営業のやりがいはなんといっても、自動車に関わる営業ができるということです。
自動車ディーラー営業をしている人の中には、車好きだから自動車ディーラーで働いているという人も多く、大好きな自動車に関われる仕事ができるということはやりがいになります。
また、自動車は家や結婚式の次に来る位、多額の費用が発生する買い物です、数百万円を支払うということもあって、お客様はそれだけ自動車についてよくリサーチしますし、信頼できるディーラー営業か値踏みをします。
つまり、見込み顧客はマーケティングによって集まってきますが、見込み顧客に営業をして成約を勝ち取るまでが他の営業と比較しても大変なのです。
無事、お客様から注文を獲得し、納車した後にはとても大きな達成感が得られるはずです。
自動車ディーラー営業のメリット
自動車ディーラーのメリットはインセンティブによって高給が狙えることです。
通常、インセンティブの割合が多い、不動産や保険等の営業では、見込み客集めから自分で行う必要があるため、営業としての難易度は高くなります。
一方で、自動車ディーラー営業の場合、難しい見込み客集めはマーケティングによって行うので、不動産や保険などと比較すると営業の難易度は下がります。
インセンティブによって給料が跳ね上がる可能性も少なくなってしまいますが、営業力には自信はあるけれども、見込み客集めまで自分でやりたくないという営業パーソンにとっては良い職種だと言えます。
また、自動車に関する仕事ができるというのも大きなメリットです。
やりがいにもつながりますが、仕事として自動車に関する情報収集が受けられますし、自動車や関連商品が社員割引で安く購入できることもありますので、自動車が好きな人には実利もあります。
自動車ディーラー営業のデメリット
メリットがある一方でデメリットもあります。
まず、待遇の所で説明しましたが、土日は基本的に出勤しなければなりませんし、お客様の都合に合わせて夜電話することもあります。
そして、最大のデメリットはノルマによって精神的に追い詰められやすいということです。
営業の仕事は、大抵の場合ノルマがありますが、自動車は高単価かつ1年に何回も買い直すような商品ではないため、売上を上げるのは大変です。
どんなに優秀な営業パーソンでも、月末、四半期末、決算期末と「末」には数字に対するプレッシャーが精神に重くのしかかります。
また、顧客からのクレームもプレッシャーとなります。
自動車ディーラー営業は営業職ですが接客の要素が強いので、ときには顧客から理不尽なクレームが発生することもあります。
自動車ディーラー営業はこのようなストレスと向き合いながら仕事をする必要があります。
自動車ディーラー営業に向いている人、向いていない人とは?
自動車ディーラー営業に向いている人もいれば向いていない人もいます。それぞれの特徴について説明します。
自動車ディーラー営業に向いている人
自動車ディーラー営業に向いている人の特徴として、まず挙げられるのが、自動車が好きであることです。
自動車営業は平均年収が決して高いというわけではありませんし、ノルマによるプレッシャーもあります。このような環境の中で仕事をするためには自動車好きである必要があります。
自動車が好きだと、自然と詳しくなりますし、お客様の気持ちも読みやすくなります。よって、営業としても成果を出せる確率が高まります。
よって、自動車のことが好きな人の方が自動車ディーラー営業には向いています。
2つ目の向いている人の特徴としてプレッシャーに強いことが挙げられます。
自動車営業は学歴や資格、職歴に関係なく誰しもが働くことのできる営業ですが、プレッシャーとの戦いです。
デメリットの所でも説明しましたが、優秀な営業パーソンであっても、「末」には数字のプレッシャーと戦っています。
いくら、自動車が好きで、営業力があったとしても、このようなプレッシャーに向き合うことができないと、営業として成功を収める前に、心が折れてしまいます。
精神的に辛い時期であっても耐えられるだけのプレッシャーへの強さは持っておいた方が良いでしょう。
3つ目の特徴として、人当たりの良い人の方が自動車ディーラー営業に向いています。
自動車は高単価な商品なので、お客様もそれだけ本気で商品やどこから買うかを考えます。
お客様の選択理由は様々で自動車のブランドや価格によって購入先を決める人もいますし、担当者の印象もお客様が買うか否かに大きな影響を与えます。
お客様に好印象を持ってもらえるような人当たりの良い人の方が自動車ディーラー営業に向いています。
自動車ディーラー営業に向いていない人
自動車ディーラー営業に向いていない人の特徴としては、向いている人の逆の特徴として、自動車(取り扱い商材)が好きではない、プレッシャーの弱い、人当たりの悪い人が挙げられます。
また、これらの特徴は自動車ディーラー営業だけではなく、どの営業にも通底する普遍的な向いていない人の特徴でもあります。
ただし、このような特徴を備えていたとしても本人の努力次第で弱点はいくらでも克服することが可能です。
デキる自動車ディーラー営業のコツとは?手紙を使う人もいる?
では、デキる自動車ディーラー営業はどのような営業をしているのでしょうか。自動車ディーラー営業のコツについて説明します。
気配りがデキる人を目指す
まず、デキる自動車ディーラーが目指すべき方向性の1つが「気配りができる人」です。
今は、新車販売台数が減少する時代で、昭和の新車販売台数が右肩上がりだった時代とは営業環境が異なります。
すなわち、新車販売台数が増えている時代は、いかに新車を販売するのかについて気を使い、新車販売台数さえ増えれば自動的に車検や修理などのアフターマーケットを獲得することができました。
しかし、現代は新車台数が減少しています。減少している新車台数を無理やり営業で獲得するのは営業としても効率が悪いです。それよりも重要なのは1人1人のお客様といかに深く付き合うことができるかです。
自動車を保有しているお客様ときちんと付き合えば、まずは新車を販売して、定期的に車検、故障したら修理、買い替えのタイミングで下取り、新車の提案と定期的に収益を得ることができます。
そして、お客様と長く付き合うようにするのならば、自動車ディーラー営業は気配りができる人になる必要があります。
例えば、毎月お客様と会うような業種の営業なら、営業力さえあればなんとかなるかもしれませんが、自動車ディーラーに毎月行くというお客様は存在しないでしょう。
営業は、お客様につかず離れず、適切なタイミングでお客様をフォローする気配りが必要です。
手紙も良い接客ツール
気配りの具体例としては、必要な情報を適切に伝えることがあります。
例えば、車検やカーディーラーのイベントの案内をお客様に送るのも良いでしょう。ただし、あまりにダイレクトメールやチラシっぽくなってしまうと、お客様が営業の雰囲気を感じ取ってしまうので、一歩引いてしまいます。
デキる営業は、この営業っぽさを押さえるために手紙を効率的に使います。
例えば、ただの営業であったとしても、ハガキで手書きの一言が加えられているだけでお客様が抱く印象は変わりますし、新年初売りのセールの告知を寒中見舞いで送るなど、手紙感を出すことによってお客様が感じる営業っぽさを軽減できます。
また、営業としてお客様と信頼関係を築くためには接所頻度が大事です。
どうしても、ディーラー営業は接触頻度を保つのが困難なので、手紙を使うことによって接触頻度をコントロールします。
自動車業界、ディーラー営業の変化を解説!
自動車業界は、AI運転や電気自動車などの技術革新やあるいはカーシェアリングなどのライフスタイルの変化によって急激に変化しています。自動車ディーラー営業を取り巻く環境の変化について説明します。
自動車にはお金を使わない?
まず、重要な変化が自動車にお金を掛ける文化が無くなってきているということです。
交通インフラの整備されたことによって、地方ならともかく、都心なら日常生活において自動車はほとんど必要ありません。
さらに、地方部でも自動車にお金を掛ける文化は昔ほどなく、軽39.8万円業態のような価格破壊型の自動車ディーラーが地方でもシェアを獲得しています。
このように自動車が必要なくなる、あるいは低価格業態の誕生によって自動車ディーラーは自動車販売によって収益をあげるのが難しくなっています。
カーシェアリングの普及
さらに、近年はカーシェアリングも都心部を中心に普及しつつあります。
カーシェアリングとは1台の自動車を複数のユーザーで共同使用するサービスのことを指し、駐車場のタイム24などの大手資本もサービスを提供しています。
自動車の使用頻度が低い場合、所有するよりもシェアリングを使った方が楽なので、切り替えるユーザーも現れています。
残クレは収益源となるのか
このような状態において、自動車ディーラーが新たな収益源として注目したのが、残価設定型自動車ローンです。
すなわち、自動車を販売する際にあらかじめ期限と自動車の下取り価格を設定しておき、購入価格と下取り金額の差額をローンにするという購入手法です。
これによるお客様は自動車を安価に購入することができるので、自動車ディーラーの中にもこの手法を積極的に採用している事業者は存在します。
自動車の長寿命化
また、自動車の長寿命化も自動車ディーラー営業としては考えておくべき課題です。
自動車関連の技術の向上により、自動車の躯体は丈夫に、塗装も劣化しにくくなっています。
自動車の平均車齢は毎年増加していると言われており、軽自動車の平均使用年数は約15年に達していると言われています。
つまり、これまで新車の販売台数が減っている背景には技術の向上により、自動車が丈夫になって買い替えニーズが減少してきていることもあるのです。
電気自動車は市場の勢力図を変化させるか?
最後に紹介するのが、市場の勢力図は変化するのかという問題です。
ガソリン自動車では日本の自動車メーカーは高いシェアを誇っていますが、世界的にはガソリン自動車から電気自動車への切り替えが行われようとしています。
ガソリン車はガソリンを使ったエンジンを動力に走りますが、電気自動車では電気を使ってモーターを動力に走ります。
技術体系としては異なる部分も多く、電気自動車が普及するのに、開発が遅れていると、これまでガソリン自動車で強かった日本の自動車メーカーも新興の電気自動車メーカーにシェアを奪われる可能があります。
極端な可能性としては、電気自動車は家電に近い性質を持っているので、電気自動車を家電量販店が取り扱うようになり、カーディーラーと家電量販店が販売で競合するということも考えられます。
自動車ディーラー営業の求人、転職方法とは?必要なスキルとは?女性も応募できる?
自動車ディーラー営業の求人の探し方や転職方法、必要なスキルなどについて説明します。
自動車ディーラーの求人・転職方法
メーカー系列のディーラーとサブディーラーを含めると、日本にはたくさんの自動車ディーラーが存在しているので、求人を探すことは比較的容易です。
ハローワークでも転職サイトでも見つけることができるでしょう。
どちらかと言えば、転職エージェントを使って求人を探すよりも、ハローワークや求人情報誌で探す方が多くの求人が見つかります。
また、離職率が高い職業であるため転職もそれほど難しくはありません。新卒は大卒を中心に採用しているディーラーも多いですが、中途ならば学歴に関係なく採用している企業も多いです。
ただし、入社のハードルの低いからといって、業務が楽なわけではないのに注意してください。
自動車ディーラーへのスキル
特に必須の資格はありませんが、お客様に納品に行く際に運転が必要になるかもしれませんし、自動車を販売するのですから、自動車免許は持っておいた方が良いでしょう。
また、スキルではありませんが、自動車という商材が好きであるということも営業にとっては重要な資質です。
前職が自動車と関係なかったり、営業未経験であっても、本人の熱意次第で十分採用される可能性があります。
女性も応募できる?
もちろん、男女に関係なく求人に応募することができますし、優秀ならば男女の区別なく採用されます。
ただし、一般論として、カーディーラーの営業は男性が多い職業なので、入社した会社によっては男性社会的な組織が作られていることもあります。
自動車ディーラー営業からよくある転職先とは?
最後に自動車ディーラー営業から転職する場合、どのような企業に転職するのかについて説明します。
選択肢は比較的広い?
まず、自動車ディーラー営業からの転職先としては比較的色々な候補が考えられます。
営業職はどの業界でも不足しているので、カーディーラーできちんと成果を残した営業は他の業界からでも重宝されます。
もちろん、同業の自動車ディーラーに転職することも多いですが、営業という軸で自動車以外のメーカーや商社のように営業が求められる業界へ転職するパターンも多いです。
福利厚生が重要か給料が重要なのかなど、自分の中での転職の軸を決めてから、転職希望先をピックアップしてみてください。
ただし、インバウンド系の営業が中心なので、アウトバウンド系の営業に転職すると苦労するかもしれません。
転職するなら早い方が良い
カーディーラー営業から転職をするならば早めの方が良いでしょう。
もちろん、自動車に関する知識は見つけることができますが、転職市場で有利になるようなスキルが身につくということはありません。自動車ディーラーから転職するのならば、市場価値が高い若いうちに転職してしまった方が良いでしょう。
また、特にこの業界に転職したいという希望が無い場合は、自分の可能性を広げるためにも転職エージェントなどを利用してみても良いでしょう。