新聞営業の仕事内容とは?
では、まず新聞営業の仕事内容について説明します。
新聞営業は複数業務を勤務しているケースが多い
新聞の営業は新聞社が直接行っているわけではありません。新聞社から送られて来た新聞を各家庭に届ける新聞販売店が新聞の営業をしています。
一般論として、新聞販売所は小、零細企業であることが多いので、営業部が独立しているわけではありません。配達する人は営業もしなければならないということはよくあります。
新聞営業所の仕事
よって、まずは新聞営業だけではなく新聞販売所ではどのような仕事をしなければならないのかを説明します。
新聞販売所の仕事は大きく3つに分かれます。配達、営業、広告です。
配達は一番イメージしやすい業務で新聞社から送られて来た新聞を契約している各家庭に届ける仕事です。朝刊と夕刊を新聞が発行されている日は毎日配ります。
また、新規の新聞契約の獲得、売上の回収なども販売店の仕事です。販売店は新たな新聞契約を獲得して、既存の契約者の維持、新聞購読料の回収も行います。
ちなみに、新聞販売店は新聞の配達によっても収益を得ていますが、同じく大きな収益源となるのが、広告です。新聞販売店は新聞の中に折り込みチラシを挟み込んで各家庭に届けます。
この折り込みチラシを各家庭に配布することによって、新聞店は広告収入を得ます。
ただし、折り込みチラシの広告営業をするということはほとんどありません。大抵の場合は折り込みチラシを扱っている広告代理店経由で発注されるか、広告主からインバウンドで相談が来ます。
新聞営業の3つの仕事
では、先ほど新聞営業の仕事内容について詳しく説明していきます。
営業の仕事は、新規契約の獲得、既存契約の維持、購読料の集金という3つに分かれます。
購読料の集金
このうち、一番楽なのが購読料の集金です。そもそも購読料を手集金するケースは減少しています。クレジットカードや口座振替で購読料を払っている読者が多いでしょう。
ただし、高齢者の一人暮らしで話し相手が欲しい、映画や美術館、コンサートの無料チケットや割引券が欲しいのであえて集金に来てもらって購読料を払っている利用者もいます。
基本的にほとんどの場合は利用者が家にいれば支払ってもらえますが、まれに利用者がなかなか家にいない、払ってくれないというケースも存在しますので、日付を調整して訪問して、粘り強く交渉します。
既存契約の維持
新聞購読の契約は3か月や1年のように期限が区切られていて、契約は自動延長されません。よって、新聞営業では契約が切れそうな購読者をフォローして契約の更新の営業を促します。
新聞を購読することが習慣化した購読者で、他の新聞から営業をかけられていない、現在購読している新聞に拘りがあるという購読者はすんなりと契約を更新してくれます。
ただし、読んでいる新聞にこだわりがなく、他の新聞社に営業をかけられている場合は、すんなり契約できない場合があります。そのときは後で説明する「拡張材料」という契約を使用しながら交渉する必要があります。
また、新聞を購読するのを止めようとしている購読者も存在します。このような購読者の購読を維持することは非常に難しいです。新聞の良さを説明したり、泣き落としにかかったり、各拡張材料を使いながら交渉します。
総じて言えば、次に説明する新規獲得の営業よりも、まずアポ率が高くて、相手に冷たい対応をされることも少ないので、比較的楽な営業です。
新規契約の獲得
新聞営業で一番大変なのが新規契約の獲得です。まれに新聞を読みたい人から問合せが来る場合もありますが、基本的にはアウトバウンドで営業する必要があります。
基本的な手法は飛び込み営業で、その新聞販売店のエリア内で、まだ自社と契約していない家や店舗に対して、飛び込みで営業をします。
ちなみに、新聞の販売所は取り扱っている新聞によってエリアが割り当てられており、そのエリアの外に配達したり、営業したりすることはできません。
よって、新聞の新規営業は販売代理店の管轄内でしか行えませんが、その代わりに同じ新聞を取り扱っている、他所の販売代理店の顧客を奪われることもありません。
2000年前後位までなら比較的この方法でも契約を獲得できましたが、新聞や浄水器、太陽光など訪問販売の強引な販売手法が社会問題化されて、厳しく規制されるようになりました。
よって、昔よりも難易度があがっています。この新規営業の方法については、新聞営業のテクニックの部分で更に詳しく説明します。
新聞契約と拡張材料
先ほどから営業について説明する際に、拡張材料という言葉を使っていますが、そもそも拡張材料とは何かについて説明します。
拡張材料とは、新聞を契約するとついてくる景品のようなものです。
代表的な拡張材料と言えば、洗剤やお米、ビールなどの消費財ですが、長期間の契約になると、電動自転車や掃除機などの高価な商品を購読者に配ることもあります。
新聞業界の自主規制ルールである新聞公正競争規約によって、購読者に渡しても良い拡張材料の価格は規制を受けていますが、一部の販売店ではこの制限以上に豪華な拡張材料を配布しています。
新聞販売所は複数の新聞を取り扱っている?
ちなみに、新聞販売所は新聞社から独立した資本で運営されていますので、どこの新聞を取り扱うのかは新聞販売所の自由です。
取り扱っている新聞によって新聞販売所は「専売店」「複合店」「合配店」の3種類に分類することができます。
専売店は特定の新聞のみを扱っている販売所、複合店は複数紙の販売を行っている販売所、合配店とはそのエリアで配布する新聞を一手に引き受けている販売所です。
どのタイプの販売所で営業するかによっても、営業としての提案の幅が異なります。
新聞営業と拡張員
基本的には新聞販売所の正社員が配達などと営業を兼務している場合が多いのですが、商圏の大きなエリアになると拡張員という営業が新聞営業をする場合があります。
拡張員は店が独自で雇う専属の営業と、拡張団という新聞社が抱えている営業集団から派遣されて営業をする拡張員が存在します。
新聞営業は稼げる?ノルマがきついって本当?給料や歩合について解説!
以上のように新聞営業の仕事内容について説明しましたが、新聞営業の報酬やノルマについて詳しく説明します。
新聞営業の給料・歩合
新聞営業は先ほど説明した通り、その新聞販売所で一通りの業務を行う従業員や営業に特化して業務を行う拡張員が担当します。
また、拡張員の場合はフルコミッションの場合もありますが、従業員の場合は営業の他にも配達なども行っているのでベースの給料があります。
従業員の場合は、新聞配達などにも時間を取られて、営業する時間も短いので、月給ベースで20万円から30万円、コンスタントに契約を獲得できれば40万円前後になると考えられます。
一方で拡張員の場合は、営業によるインセンティブが大きく月給に影響を与えるので、販売所の従業員よりも月給が少なくなることもありますし、月給で70万円以上になる拡張員も存在するようです。
単純に、稼げるか稼げないかの視点で考えると稼げないことの方が多いです。
新聞営業の待遇
では、新聞営業の待遇が良いのでしょうか。一般論として給料も待遇もその会社の収益によります。そして給料はコントロール困難ですが、福利厚生などの待遇が比較的コントロールしやすいです。
待遇が良さそうな新聞販売所で働きたいのならば、儲かっていそうな販売所を見つけるべきです。儲かっていそうな新聞販売所の見つけ方は求人の探し方の部分で説明します。
ただし、紙の新聞自体が比較的斜陽産業のため、待遇の良い新聞販売所を探すのは困難です。
ノルマはきついのか?
一般論としてノルマはあります。
ただし、各新聞販売所の経営者の考え方にもよるのでノルマが無い新聞販売所の求人もありますし、厳しいノルマが課せられることもあります。
また、ノルマを達成できなかった場合の扱いも新聞販売所の経営者の意向によってさまざまです。厳しくノルマ達成のためにツメる販売所もありますし、それほど厳しく追及しない販売所もあります。
ただし、一般論として新聞販売所は新聞社から販売ノルマを設定されていることが多いです。
新聞社は部数を非常に重視しています。部数が多いほど新聞広告の営業で有利になるからです。よって、新聞社は新聞の定期購読のニーズが低くなる中で、部数を維持するために新聞販売所にもノルマを要求します。
そして、新聞販売所のノルマと実際に配っている部数に差がある場合、新聞販売所がその余っている部数を負担しなければなりません。
いわゆる「押し紙」と呼ばれるもので、押し紙によって経営を圧迫されている、新聞販売所はたくさんあって、押し紙を解消するためには、営業に新規案件を獲得してもらうしかありません。
このような事情から、一般論としては非常に厳しいノルマが課されがちです。
ちなみに、新聞営業では契約のことを「カード」と呼びます。
新聞営業はどんな人が向いている?
では、新聞営業にはどのような人が向いているのでしょうか。向いている人の特徴について説明します。
営業マンっぽくない
まず、他の営業職と異なるのが営業マンっぽい営業はあまり契約を獲得できないということです。
新聞営業は営業というよりも、接客に近い仕事で、お客様にとってメリットのある提案を行うというよりも、この営業パーソンの力になってあげたいと思わせて契約を獲得することになります。
よってビシッとスーツを着た敏腕そうな営業マンよりも、人当たりの良い、どこか頼りなさをもった素朴な営業の方が契約を取りやすい傾向にあります。
メンタルが強い
また、基本的に飛び込み営業なので、メンタルの強さが重要になります。
基本的にはドアさえ開けてもらえませんし、居留守を使われるのはまだ良い方で、インターフォン越しに冷たくあしらわれるケースもあります。もちろんドアを開けてもらった後でも契約を獲得するのは至難の業です。
このように、断られ続けてもへこたれないメンタルの強さが必要になります。
負けず嫌いである
また、メンタルの強さと関連して重要なことが負けず嫌いであることです。
メンタルが強くて断られてもアタックし続けることができても、契約を獲得しようという意思がなければ、契約を獲得するのは困難です。
新聞営業に向いている人はメンタルが強いかつ、なかなか契約が取れない状況の中でいかに契約をとってやろうかと闘争心を燃やす負けず嫌いさが必要です。
タフである
また、タフであるということも重要な条件です。新聞販売所の従業員として営業をしている場合、朝刊と夕刊を配って、集金もしながら営業を行う必要があります。
スクーターなどを使って配るので、それほど体力は消費しないかもしれませんが、拘束時間は長くなりがちです。このような拘束時間が長い環境で、営業の精度を落とさないためにはタフさが必要です。
お金に対するモチベーションが強い
一方で、拡張員は営業に労力の全てをつぎ込むことができますが、フルコミッションなことも多いので、契約が取れなければ生活さえままならない可能性もあります。
拡張員にとって重要なのが、このお金へのモチベーションです。
契約を獲得してインセンティブをもらえなければ生活ができない、契約をたくさん獲得して良い生活をしたいというモチベーションが行動につながります。
新聞営業のメリット、デメリットをまとめました!
では、新聞営業のメリット・デメリットについて説明します。
新聞営業のメリット
まず、メリットとして挙げられるのが、歩合で高給を狙えるということです。先ほど説明した通り、優秀な新聞営業ならば月収70万円~80万円になることもあります。
また、学歴や職歴に関係なく雇ってもらいやすい仕事なので、何もアピールポイントが無いところから高収入を目指そうと思えば新聞営業は良い職業です。
更に、営業スキル自体も身に付きます。反響営業が基本になって、アウトバウンド系の営業は少なくなっています。
しかし、アウトバウンド営業を経験した営業マンの方が見込み顧客へのアプローチが上手いし、少ない見込み案件から受注できるように、1件1件の営業へのアプローチが丁寧になることが多いです。
手っ取り早く困難な環境でも売る力を身につけたいのならば新聞営業は良い働き方です。
新聞営業のデメリット
もちろん、デメリットも存在します。
新聞営業のデメリットとしてまず挙げられるのが、営業環境が厳しいということです。メリットの所で説明した通り、厳しい営業環境で営業力を高めたい場合は良いですが、単純にお金を稼ぎたい場合は大変です。
また、金銭面についても検討した方が良いです。フルコミッションで拡張員として営業すると、そもそも契約が取れないと生活費すらままならない可能性があります。
更に従業員として新聞営業をしても、配達や集金などの関係で営業できる時間は限られていますし、トータルとして拘束時間は長いのにあまり給料がもらえないことになりがちです。
また、新聞配達自体が斜陽産業であるので、新聞販売所でスキルアップして、新聞配達業界で長期的なキャリアを築くということもおそらく困難です。
社員寮などが整備されていることも多いので、生活のつなぎとして働くのは有効ですが、いずれ転職することも視野に入れて就職した方が良いと考えられます。
新聞営業のテクニック、トークのコツを解説!
では、新聞営業のテクニックやトークのコツについて解説します。
まずはドアを開けてもらう
新聞の新規営業において最初の難関となるのが、ドアを開けてもらうことです。
ただし、特定商取引法によって訪問販売の手法が厳しく制限されていますので、営業目的であることを告げずに「近所からきました」「お届け物です」のような文言でドアを開けさせてはいけません。
新聞営業で成果をあげるためには、まず営業であるということを伝えた上で、いかに相手にドアを開いてもらうかを考える必要があります。
オーソドックスなトークとしては「●●新聞販売所の●●です。今回はご契約者様に××を必ずプレゼントするキャンペーンのお知らせで参りしました」とします。
「××」の部分についてはターゲットの期待値を超えるであろう拡材を訴求するのがポイントです。上手く興味を持ってもらえればドアを開いてもらえます。
更に
「2分だけしかお時間をとらせません」
「キャンペーンは来週までで次回の開催は未定です」
「説明をお聞きいただいている途中で興味がなければすぐに断っていただいてかいません」
のようなトークを混ぜて、ターゲットに手間がかからない、いまのうちに聞いておいた方が良いという印象を与えます。
契約更新は丁寧かつ紳士的に
一方で、既存顧客の契約更新の営業については、ドアを開けさせるのは簡単です。既存顧客の契約更新で気を付けるべきことは、丁寧かつ紳士的に営業することです。
例えば、更新のお願いに行く際にはアポイントをとった方が営業パーソンにとって無駄足が避けることができますし、購読者に対しても丁寧だという印象を与えることができます。
更にアポが取れなくて理由が判断しにくい場合は、他紙への切り替えや新聞を取ること自体を止めようとしているのだと事前に推測できるので対策を立てやすくなります。
また、訪問した際にも
「新聞の配達が遅れたり、雨に濡れていたなどの何か困ったことはございませんでしたか」「たしか展覧会の割引チケット以前お求めいただきましたよね。また定期的に販売所にチケット送られてくるので興味があるものがあれば、またお気軽にお申し付けください」
のように、購読者のことをきちんといたわるようにしてください。
拡材を利用する
新聞営業にとって重要な切り札が拡材です。ドアを開ける際にもクロージングする際にも拡材は起点となります。
お客様にどのような拡材が受けそうか、どの位まで拡材を付けても案件を獲得できれば良いのかなどについてはよく研究するようにしてください。
新聞営業の体験談を集めました!
では、新聞営業を行った人の体験談をもとに新聞営業はどのような仕事なのかを探ってみたいと思います。
生活を立て直したい人には向いていると思います
諸事情により急に実家から離れて生活しなければならなくなったのですが、アパートを借りるのにも敷金・礼金や家具や電化製品を買わなければならないので困っていました。そんなときに見つけたのが新聞販売所の求人でした。
寮がついているので、すぐに新しい生活を始めることができて、配達に営業、集金と忙しいので、あまりお金を使わなかったので、1年~2年で充分な生活のための資金と貯金を貯めることができました。
自分の都合で自由の働きやすい
タレントの卵をしていて、不定期に突発的な仕事は入っては来るものの、生活できるほどの収入ではなかったのでアルバイトをしていました。
しかし、仕事が突発的に入ってくるので、シフトに穴をあけることも多く、お店には迷惑をかけていて、いたたまれない気持ちになっていました。
そこで、新しいアルバイトとして始めたのが、新聞の拡張員でフルコミッションなので時間で拘束されないので、自分のペースで自由に働けることができました。
また、はじめは大変でしたが飛び込み営業によって、どのような状況でも物怖じしない度胸が身についたと思います。
他の仕事の方が稼げる気がする
ベテラン販売員になると1日、数件契約をとってこられて普通に働くよりも良い日当がもらえるようですが、きちんと稼げるようになるためにはかなり時間がかかるように思います。
手っ取り早く稼ごうと思ったら他の仕事の方が効率が良いと思い、転職しました。
新聞営業の求人の探し方を解説!アルバイト募集もある?
以上のように新聞営業について説明しましたが、では新聞営業になりたいと思った場合、どうすれば良いのか、求人の探し方や見分け方について説明します。
儲かっている販売店の見つけ方
新聞販売所の従業員は成り手が少ないので、求人も比較的余っていますし、採用もされやすいです。ただし、零細企業なので儲かっていなければ、待遇は良くないことが多いです。
新聞販売所が儲かっているかの見分け方の指標が、販売所の種類、ターゲット人口と広告の量です。
冒頭で説明した通り、販売所には「専業店」「複合店」「合配店」の3種類があります。そして新聞社から商圏が決められているので、同じ新聞を扱う新聞販売店同士がバッティングする事がありません。
よって、専業店よりも複合店、複合店よりも合配店の方が儲かりやすくなっています。
また、その販売所のエリア内にどの位の人口がいるのかということも重要です。新聞のメインの購読者は50代、60代以上です。反対に人口が多くても若い人は新聞を読まない人が多いので営業しづらいです。
更に、新聞の配送だけでは販売店はほとんど利益を出すことはできません。新聞販売所の大きな収益源が折り込みチラシです。折り込みチラシの量が多い販売所ほど儲けているので、収益を図従業員に還元しやすいです。
また、販売所の種類とターゲット人口は営業しやすさにも関わる重要な指標です。
調べるのは少し面倒ですが、少しでも良い条件の新聞販売所で働きたいのならばこの3つはリサーチしておいた方が良いです。
新聞営業の採用形態
ちなみに、新聞販売所は必ずしも正社員で採用しているとは限りません。正社員はごく一部で、配達員はパートやアルバイト、新聞奨学生、拡張員は業務委託ということが多いです。
ちなみに営業は従業員や業務委託が行うはずで、パートやアルバイトが営業することはまずないと考えられます。パートやアルバイトは時給で賃金が発生するので、フルコミッションの営業をさせられないからです。
ちなみに従業員やパート・アルバイトは労働法によって保護されていますが、業務委託は法律上の保護を受けることができません。
よって、契約期間が終われば自由に解雇することができますし、成果を出さなければ1円ももらえないことはよくあります。
更に業務委託は、会社が社会保険や労働保険などに加入してくれないので、自分で加入する必要があります。
後で後悔しないようにどのような採用形態で雇用されるのかはきちんとチェックしてください。