本記事では、顧客の課題解決を行うソリューション営業で必要とされるコミュニケーション「ナビゲーションスキル」の①商談の始め方について解説します。
※「ナビゲーションスキル」の必要性については、下記をご確認ください。
問題解決が求められるソリューション営業では、「相手の現状をいかに詳細に把握できるか」が重要です。スムーズに商談を進めるためにも、目的と狙いをもって商談前のコミュニケーションをとりましょう。
心理的な障壁を下げる
顧客の緊張をほぐし、リラックスした雰囲気を作り出すためにも、アイスブレークは欠かせません。すでに営業の場でアイスブレークを行なっている担当者も多いでしょう。
しかし、「意味のあるアイスブレーク」と「やってはいけないアイスブレーク」があるのをご存知でしょうか。
特にソリューション営業では、顧客の現状を踏まえた上で、問題解決のための提案を行う必要があり、深くヒアリングを行うためにも顧客の心理的な障壁を下げることがとても重要になってきます。後ほどの商談をスムーズに進めていくためにも「意味のあるアイスブレーク」を行うようにしましょう。
具体的には、冒頭で商談の話題とは直接関係の無い話題を振って、心理的な障壁を下げていきます。面談の最後にプライベートの話をする場合がありますが、(次回以降に多少プラスになるとはいえ)ほとんど意味がないので冒頭で行うようにしましょう。提供する話題は相手が返しやすい、話に乗りやすいものを選択するのが望ましいでしょう。
例えば
- プライベートな共通項に関するネタ
(例)自分も◯◯県出身です。同郷ですね。 - オフィス周辺のネタ
(例)すごくいいビルにオフィスを構えていらっしゃいますね。 - 訪問先の業界ネタ
(例)そういえば先日、◯◯がニューズになっていましたね。 - 季節・天気に関するネタ
(例)最近寒くなってきましたね。
といったネタを用いるのが良いでしょう。
特にプライベートな共通項で自己開示をするのが相手の心理的な障壁を下げる上で最も効果的です。また、政治ネタや思想信条に関するものはトラブルの原因となりますので、避けておくのが無難でしょう。
アイスブレークで「自分はこの業界に入って間もないので・・・」など下手から入る場合がありますが、顧客からの信頼性を下げるため基本的にはNGです。「わからないので教えて下さい」というスタンスで相手から情報を聞き出す場合は効果的ですが、それ以外ではなるべく控えるようにしましょう。
商談の価値を認識してもらう
アイスブレークに続き、本題に入る前に「オープニングトーク」を行なっていきます。
オープニングトークでは、商談の位置づけと当日の進め方について共有していきます。
この後に控える顧客に対する現状把握や、社内での取りまとめなど、担当者に協力して貰う部分は多くあります。そのため、オープニングトークを通じて、「自分たちと話をすることには価値がある」と認識して貰うことが重要です。
具体的には、以下のような流れで行なっていきます。
1. 商談目的を共有する
今回は◯◯についてのご提案をさせていただきます。
2. 訪問目的を共有する
その前に、より良い提案をするためにいくつかヒアリングさせて頂きたい点がございますがよろしいでしょうか?
3. 所有時間を共有する
全体で1時間ほどお時間を頂くかと思いますが、よろしかったでしょうか?
4. 商談に期待を持たせる
(通常時)我々であれば良い提案ができると思います。
(提案時)今回、絶対喜んで貰えるものを持ってきました。
ここで「今日は貴重な時間を割いて頂き、申し訳ございません。」という導入をするケースが多く見受けられますが、これは適切ではありません。あくまでも自分たちの商談は顧客にとってもプラスであることを示す必要があり、「割いた時間」>「自分たちの商談内容」という認識をもたせるべきではないでしょう。(「時間の調整をして頂きありがとうございます」という表現であれば問題ありません。)
まとめ
営業のスキルというと商談の中身を重要視しがちですが、商談の入り口が商談の進捗を左右することも多々あります。ポイントを押さえて実践してみてください。
ただし、あくまでも本題はこの後の顧客現状の把握以降の過程であるため、時間配分には注意が必要です。アイスブレークも1~2トピックで、オープニングトークも簡潔に済ませるようにしましょう。
次回は「顧客現状の把握」に入っていきます。