税理士にはどんな営業が必要?その集客のコツを解説します!
税理士業界は競争が激化しています。よって、ただ待っていれば仕事が来るのではなく自分で見込み客を集客してクライアント化する必要があります。
積極的に営業する先生業は仕事がとれない?
しかし、税理士に限らず弁護士や経営コンサルタントなどいわゆる先生業と呼ばれる業種は営業らしい営業をするほど仕事が取りにくいと言われています。
単純に考えればわかるのですが、企業に飛び込みで決算書の作成や税務申告書の作成を私に任せませんかと営業してくる営業パーソンのような税理士を誰も信用しないでしょう。
そして、たとえ飛び込み営業から仕事が請け負えたとしても安い単価で使われる可能性が高いので、生活はできるかもしれませんが幸せになれない確率が高いです。
つまり、先生業は営業でがむしゃらに新規開拓をしてはいけないのです。
税理士の「先生」として仕事を受注する
税理士の「先生」として仕事を受注するためには、飛び込み営業やテレアポのようなアウトバウンドの営業ではなくてインバウンドで営業する必要があります。
インバウンドによる営業とは、例えばセミナー講師、Webサイト、クライアントからの紹介のようにマーケティングによって問合せを発生させて、その問合せに応える形で行う営業方法のことを指します。
この方法で営業すれば、「先生」のまま単価を下げずに営業することができます。
職人気質は成功しない
専門職の場合は、実力さえあれば仕事が自然とやってくると考える税理士もいるかもしれませんが、これは間違いです。業界内での実力や評判について一般人はあまり知りません。
例えば、元国税官で企業の税務申告について詳しくて、税務調査の立ち合いでは税務署側の調査の仕方を知り尽くしていて、対策に詳しい税理士がいたとします。
しかし、事務所さえ開けば、企業から顧問税理士になってくれという案件が自動的にやってくるというわけではありません。見込み客はどのような税理士なのか、何が得意なのかを言って貰えなければわからないからです。
この場合、
- 自分が国税官出身の税理士であること
- 税務署側の人間として税務調査を行った経験があるので調査手法を知っていること
- 税務署の手の内を知っているので、立ち合い調査への対応策の立て方にはノウハウを持っていること
の3点を説明して、顧客ははじめてその税理士の凄さが理解できるのです。どれだけノウハウを持っている税理士でも、顧客の伝わらなければただの税理士と一緒なので実力さえあれば仕事は来ると思わずに、きちんと営業してください。
税理士の独立成功にも営業力が不可欠?
では、税理士はインバウンド営業を行うべきだとしてどのような営業をすれば良いのでしょうか。税理士が独立成功するために必要な営業力について説明します。
顧客のベースを作る
税理士として独立するためには、まず顧客のベースを作る必要があります。おそらく、税理士として独立する場合、税理士事務所に勤務して実務経験を積んで独立するケースが多いと考えられます。
この事務所での働き方が非常に重要です。
先ほど説明した通り、税理士として開業しただけでは仕事を獲得することはできません。見込み客に営業してはじめて仕事が貰えるのです。しかし、開業してセミナーなどを行って営業して受注するまでには時間がかかります。
よって、独立する際にはその前から既に見込み客を作る必要があります。このときに重要な見込み客となるが前職の取引先です。
例えば、税理士法人から独立して税理士事務所を設立する場合、何割かの顧客は自分にそのままついて来てくれるはずです。税理士の仕事は事務所ではなく、税理士個人に対してクライアントがついていることが多いからです。
もちろん、独立の際にクライアントを持っていくのがご法度な場合もありますが、円満退社からの独立なら何件かクライアントを持って行って良いと言われる場合もあります。
また、そもそもクライアントが望むのならば、税理士法人として止めることができません。
しかし、いくら事務所が許してくれてもクライアントが望んでいなければ独立開業しても仕事は貰えません。
独立開業後に元のクライアントから仕事を得るためには営業力というよりもクライアントにどれだけ信頼されるような対応の仕方ができるのかビジネスパーソンとしてのスタンスが重要です。
税理士は専門性が大事
ちなみに、ベースとなる顧客は営業力が無くても、クライアントに信頼されるように業務ができれば仕事を獲得することが可能ですが、独立するからにはまったくの新規客も獲得する必要があります。
税理士として新規案件を獲得するためには、営業力も大事ですが専門性も大事です。税理士は形のない税務申告などのサービスを提供していますが、営業される側はその良し悪しについて良くわかりません。
よって価格が安かったり、なんとなくノウハウを持っていたりしそうな先生に仕事を頼みがちです。このうち価格が安い業務は長期的に損をしてしまうことが多いのでノウハウをきちんと持っている税理士としてアピールするのが良いでしょう。
自分にはどのような専門性があるのか、他の税理士事務所と異なるどのような付加価値を提供できるのかについてはきちんと整理した上で営業してください。
マッチングサイトを利用した集客方法を解説!どんなメリット、デメリットがある?
それでは、税理士のインバウンド営業の方法についていくつか例を挙げながらメリット・デメリットを説明します。まず紹介するのがマッチングサイトを利用した集客方法です。
マッチングサイトを利用した集客方法とは
マッチングサイトとは税理士を雇いたい人と仕事を受注したい税理士をマッチングさせるWebサイトのことを指します。
例えば、弁護士ドットコム株式会社が運営している「税理士ドットコム」や株式会社アックスコンサルティングの「顧問税理士ドットコム」、バスクリエイト株式会社の「税理士紹介エージェント」などのサービスがあります。
ユーザーからとっても普段の生活に馴染みのない税理士を選ぶというのは労力が必要で、知り合いや紹介などでなかなか税理士と知り合う機会がないためにWebで税理士を探しているユーザーは少なくありません。
マッチングサイトを利用するメリット
では、マッチングサイトを利用することによってどのようなメリットが得られるのでしょうか。
まず、先ほども説明した通り、税理士は先生業なのでアウトバウンド型の営業は避けるべきですが、マッチングサイトの紹介の場合、先生というポジションで見込み客の相談に乗りながら営業ができるので営業もしやすいです。
更に、通常Webを使った集客の場合は自分でホームページを運営したり広告費を払いながら見込み案件が獲得できるようにマーケティングを行う必要があります。
一方でマッチングサイトの場合は運営会社が勝手にマーケティングによって問合せを作ってくれるので自社でホームページを運営したり、マーケティングを行う必要がありません。
料金形態については有料で事務所の広告を掲載するサービスや、案件が発生した場合だけ成功報酬で仲介手数料を支払うサービスなどもありますし、事務所の情報を掲載するだけならば無料のサービスもあります。
このように手軽にWebによる問い合わせを発生させられるのがマッチングサイトを利用するメリットです。
マッチングサイトを利用するデメリット
マッチングサイトは手軽な一方でいくつかのデメリットがあります。
まず、利用するサービスの内容によっては広告掲載料や、仲介手数料が発生する場合があります。他のマーケティング手法の方が費用対効果が良いというケースも考えられます。
また、マッチングサイトに登録したからといって紹介を得られるかはわかりません。
ユーザー数の多いマッチングサイトの場合、利用者も多いですが、登録している税理士の数も多く、そのサイトで活躍している一部の税理士に案件が集中しているというケースも考えられます。
マッチングサイトによる集客は工夫できる範囲が限られているので、新参の税理士が多くの案件を獲得したい場合はホームページ集客やセミナー営業の方が良いでしょう。
ホームページを利用した集客方法を解説!どんなメリット、デメリットがある?
また、ホームページを活用して見込み案件を獲得する方法も考えられます。そのメリット・デメリットについて説明します。
ホームページを利用した集客方法とは
ホームページを利用した集客とは自社でホームページを持って集客を行う営業方法のことを指します。ただし、単なる事務所のホームページを作るだけでは上手くいきません。
ホームページ集客を行っている多くの税理士事務所は「遺産相続」「会社設立」など特定のテーマに特化した専門のホームページを作って集客しています。
単に事務所のホームページを作るよりも専門のテーマに特化したホームページの方がアクセスも集めやすいし、問い合わせも発生させやすいからです。
税理士事務所の中にはホームページの運営を外注して、効率的にホームページマーケティングを行っている事務所もあります。
ホームページを利用するメリット
ホームページを利用するメリットはマッチングサイトと同じく、先生の立場で営業が行えることです。
また、きちんとホームページが事務所で運営できたり、きちんと運用してくれる外注先があったりする場合は他の手段よりもコストパフォーマンス良く問い合わせを発生させることも可能です。
また、ホームページ内のコンテンツを充実させて検索経由でのアクセス数を獲得している場合は、広告費を払わずとも安定的にアクセスを獲得することが可能です。
いずれにしても、長期的に運用して安定的な問合せ発生源を確保したい場合はホームページによる集客を行うのが良いでしょう。
ちなみに、今の時代はネットで検索して事前に情報収集を行うのが一般的です。
ホームページから具体的な問い合わせが発生していなくても、訪問してきた見込み客が実はホームページを見ている、電話番号や住所をインターネットで調べているというケースも多々あります。
また、ホームページが無い事務所は漠然と、規模が小さいのかもしれないという印象を抱かれることもあります。
このような理由からもホームページは持っておくに越したことはないでしょう。
ホームページを利用するデメリット
一方でホームページを利用した集客にはデメリットも存在します。
まずWebマーケティングのノウハウがなく自分でホームページを運営している場合は労力の割に問い合わせが発生しない場合があります。
せっかくホームページによる集客を行うのならばきちんと勉強した上で広告費などをかけるか、ノウハウを持った外注先に運用を代行してもらった方が良いでしょう。
また、成果を出すためには比較的時間が掛かります。Web広告を使ってアクセスを獲得してもよいのですが、どうしても広告費が高くなってしまいます。
一方でホームページ内のコンテンツを充実させれば無料でアクセス数を増やすことができますが、コンテンツを充実させるのには時間がかかります。
すぐに案件を獲得したい場合は他のマーケティング手法の方が成約までの期間が短いかもしれません。
SNSを利用した集客方法を解説!どんなメリット、デメリットがある?
次にSNSを利用した集客方法について説明し、どのようなメリット・デメリットがあるのかについて解説します。
SNSを利用した集客方法とは
SNSとはTwitter、Facebook、Instagram、LINEなどのソーシャルネットワークと呼ばれるサービスのことを指します。
簡単にアカウントを作ることができるので、ホームページを作ったりして本格的にWeb集客を行うのは大変だという税理士でも気軽に始めることができます。
ただし、それぞれのSNSには特徴があるので、税理士事務所に適した手法を利用する必要があります。
例えばInstagramは画像投稿がメインとなるので税理士の仕事とは相性が悪いと考えられます。
また、LINEは基本的に友達登録して貰わないと情報発信ができないので、不特定多数の顧客を相手にする飲食店やアパレルショップがメルマガの代わりに利用するには使えますが税理士の業務とは関連性が薄いと考えられます。
Facebook、Twitterなどを利用した方が良いでしょう。
SNSを利用するメリット
では、SNSをすることによって、どのようなメリットがあるのでしょうか。SNSを利用するメリットはその拡散力にあります。
アカウントをいいね!やフォローしてくれたユーザーのタイムラインには投稿した記事が表示されますし、それがリツートやシェアされるとその友達、さらにその友達がリツートやシェアすればねずみ算式に拡散していく可能性があります。
また、簡単にはじめることができるのもそのメリットで、他の集客方法と異なり、特に何の準備もなくてもアカウントを開設して投稿をはじめることができます。
SNSを利用するデメリット
一方でSNSを利用することにはデメリットも存在します。まず挙げられるのが、費用対効果が低い可能性があるということです。
SNSで集客を行い、SNSで何らかの問い合わせを発生させるのは非常に困難です。ともすれば、税理士が自分の日常を呟くだけのアカウントになりかねません。
もちろん、既存客に対しては親近感を持ってもらうためにそのような投稿を見せても良いです。
ただし、新規のクライアントを獲得する目的で運用するのならば、発信するコンテンツにこだわった上で、SNSでは情報量に限りがあるので、ホームページなどにリンクさせて投稿を行う必要があります。
飛び込みでの集客方法を解説!チラシは有効なの?どんなメリット、デメリットがある?
続いて飛び込みでの集客方法について、またチラシは有効なのか、そのメリット、デメリットを含めて説明します。
飛び込み営業を利用した集客方法とは
コネもノウハウもマーケティングにかける費用もない、そんな税理士が行いがちなのが飛び込み営業です。
飛び込み営業とは、問合せも何も発生していない企業や個人に対して訪問して、営業して自分のサービスを売り込む営業手法のことを指します。
ただし、冒頭で説明した通りこれは非常にリスクの高い集客方法です。先生という立場で営業できなくなるので税理士本人が特殊な例を除いて税理士本人が飛び込み営業は原則として行わない方が良いです。
ただし、営業代行やテレアポ業者を使って問合せを発生させて、税理士として営業しにくという手法なら、まだ営業のしにくさも和らぎます。
飛び込み営業を利用するメリット
飛び込みを利用するメリットはコネやノウハウが無くても、とりあえず数さえこなせば案件を発生させられる可能性があるということです。
特に開業したてでコネもノウハウもない税理士でもクライアントが獲得できる可能性があります。
飛び込み営業を利用するデメリット
一方で飛び込み営業にはデメリットも存在します。先ほど説明したとおり、先生というスタンスでクライントに接することができないのも大きなデメリットですが、他にもデメリットがあります。
まず、税理士本人が飛び込み営業を行うのは業務に支障をきたす可能性が高いです。
おそらく多くの税理士には飛び込み営業に関するノウハウはありませんし、慣れていない人が飛び込み営業をすると精神的に消耗してしまいます。
また、飛び込み営業を行う日は外をグルグル回らなければならないので、日中税理士としてデスクワークはできません。
チラシは有効なのか
ちなみに、飛び込み営業と同様に古典的な集客方法として挙げられるのがチラシです。例えばダイレクトメールのように、具体的な郵送先を絞って送る場合は、税理士の集客方法となりえます。
ただし、一般的なスーパーや美容院が出すような新聞の折り込みチラシやポスティングチラシは辞めておいた方が良いでしょう。まず、クライアントになりえる人にリーチ出来る確率が低いからです。
セミナーによる集客方法を解説!どんなメリット、デメリットがある?
最後にセミナーによる集客方法について、どのようなメリット、デメリットがあるのかについて説明します。
セミナーを利用した集客方法とは
セミナーを利用した集客は税理士として王道の集客方法で、商工会議所や信託銀行と組んで企業や富裕層向けにセミナーという形で接点を作る方法です。
自分でセミナーを主催しても良いですが、セミナーの主催には費用もかかりますし、今度はセミナーの集客をどうしようかと頭を悩ませることになります。
できれば、外部の集客力を持つ団体や企業と共催するかあるいは講師として呼ばれる方が良いです。
セミナー講師として団体や企業から呼ばれるためには、何らかの特化した知識を身につける必要があります。講師を選ぶ側も特徴のない税理士よりも、セミナーのテーマで実績のある税理士に講演を依頼するはずです。
日本一にまでなる必要はありません。その分野のプロとして認知されるように定期的に情報発信を行うことが重要です。
セミナーを利用するメリット
セミナーを利用するメリットは、先生として営業できることです。先ほどから説明している通り、税理士として営業するためには先生というポジショニングを意識して営業する必要があります。
セミナー講師としてまず講演することによって見込み客に自身の先生という立場を明確に意識づけすることができるので、その後の営業が容易となります。
また、外部セミナーに講師として参加している場合は講演料を貰うこともできるので一石二鳥です、
セミナーを利用するデメリット
セミナーはデメリットの少ない営業手法ですが、セミナー講師初心者、自主開催のセミナーには注意する必要があります。
セミナー講師初心者の場合はセミナーの話のネタ探しやテキスト作成に時間が掛かってしまいます。また、大勢の人の前で話す事になるので、人見知りの人は場数を踏まないとつらいかもしれません。
また、慣れてくれば自主開催のセミナーを開催して営業しても面白いのですが、セミナー集客がきちんと行えるほど知名度が高まったり、集客のノウハウが蓄積された後の方が良いです。
税理士の営業トークはどんなことを意識するべき?そのコツを解説!
では、税理士の営業に関してこれまで様々な集客方法を説明してきましたが、営業トークではどのようなことを意識するべきなのか、そのコツを解説します。
先生としてのスタンス
まず重要なのは先生として適切なスタンスで相手に営業することです。これは横柄になっても良いというわけではありません。
先生としてクライアントに無い知識やノウハウを持っている専門家として営業に臨んだ方が良いということです。
ただ商品やサービスを売るのではなく、顧客のニーズをきちんと把握した上で、そのニーズに応えられるような顧客が知らない知識をもって専門家として回答を導き出す必要があります。
知ったかぶりはよくありませんが、基本的には自信を持って顧客に対して営業した方が良いです。
お願いしない
また、お願いをしないということは非常に重要です。
一般的な営業パーソンの場合、クロージングで泣き落としやお願いを使う営業をする人もいるかもしれませんが、税理士の場合これは逆効果です。
税理士などの先生業は忙しい人にこそ仕事が集まるといいます。仕事が欲しいという態度を表に出してしまえば足元を見られてしまいます。
営業する際にはあくまでも先生として、そのクライアントのために提案しているというスタンスで営業した方が良いです。
過程ではなく効果が重要
また、トークの際に気を付けたいのが、顧客は過程ではなく効果を気にしているということです。
例えば節税できるスキームがあったとして、顧客がまず気にするのはどの位の節税効果があるのか、どのようなリスクが発生するのかということです。
税理士のような専門職はしばしばそのスキームがどのような理論や法律に基づいているのか過程の部分について説明しがちですが、理解できない顧客も多いですし、そもそも理解しようとも思っていない顧客も多いです。
理論ではなくどのような効果が発生して、顧客にどのようなメリットがあるのかを意識しながら説明するようにしてください。