本記事では、顧客の課題解決を行うソリューション営業で必要とされるコミュニケーション「ナビゲーションスキル」の④課題の策定について解説します。
※「ナビゲーションスキル」の必要性については、下記をご確認ください。
ナビゲーションスキルの6つのステップ
① 商談の始め方
② 顧客現状の把握
③ 問題の抽出
④ 課題の策定
⑤ 解決策の提示
⑥ テストクロージング
本記事では「④課題の策定」について詳しく解説していきます。
「問題の抽出」と「課題の策定」の違い
ソリューション営業では顧客の問題を抽出し、解決すべき優先順位をつけた後、課題の策定を行っていきます。そもそも「問題の抽出」と「課題の策定」は何が違うのでしょうか。
「問題の抽出」とは顧客が抱える問題を網羅的に把握するために、現状から考えられる全ての問題を洗い出すプロセスです。
一方、「課題の策定」はソリューション営業のゴールを設定するために、抽出した問題の中でも特に顧客の障害となっている問題を選定し、そこに自社製品/サービスの適用範囲を当てはめていくプロセスになります。
「問題の抽出」から「課題の策定」への移行はすなわち議論の拡大から収束への移行に他なりません。したがって、両プロセスの違いを理解し、行うことが重要です。
では、課題を策定しないとどうなるのでしょうか?
問題の抽出のプロセスによって浮かび上がったあらゆる問題に対し、ソリューション営業の担当者の数や扱える商材の幅は決まっているため、課題の設定を怠り、一度に全ての問題を解決しようとすると、解決策の焦点がぼやけてしまいます。
そのため、解決を優先すべき問題の中から、自社商品や自社サービスの適用可能範囲を考慮し、営業担当自ら課題を策定する必要があるのです。
自社商品・サービスの適用可能範囲で勝負する
課題の策定を行うときには「自社商品・サービスの適用範囲」を意識することが重要です。
自社商品/サービスの適用可能範囲を超えて課題を策定してしまうと、ゴールが定まらなくなってしまいます。また、自社のみで解決することができなくなった場合、顧客の信用を失うことにもつながりかねませんので注意しましょう。
「②顧客現状の把握」を問題の仮説をもって行い、「③問題の抽出」を自社の商品/サービスを認識しつつ行っていれば、「④課題の策定」では自社の商品やサービスの仕様・性能を当てはめて考えるだけです。しかし、どこかの段階で足りない作業がある場合は、一度立ち止まり、やりきってから課題を策定してください。
課題の価値を伝える
課題を策定した後は解決策を考えることになりますが、その解決策が受け入れられた場合、実際に社内に伝えていくのは顧客自身です。そのため、顧客に課題価値を確認することで社内検討を進める際に副次的な効果が期待できます。例えば、顧客が課題価値を自身の言葉で語れるようになっていれば、上申の際の「社内プレゼン」でもきちんと重要性や価値効用を説明できるでしょう。結果として、受注確度が上昇することになるのです。
「顧客自身の納得感」が受注確度の上昇に大きく関係しているのです。
具体的に納得・認識してもらうべき項目は
①特定した課題を実現することが顧客にとってどの程度重要か(解決の重要性)
②具体的にどのような価値、効用があるか(課題の価値や効用)
です。
①解決の重要性の確認
質問例:営業生産性が向上出来ることがどの程度重要ですか?
解答例:それが一番の問題ではでありますからね
▷顧客自身で重要度を認識して貰う
②課題の価値や効用の確認
質問例:見込客へのアクションリストが作成出来ると御社にとってどのようなメリットがありますか?
解答例:機会損失が防げるだけでなく、効率的な訪問計画が描けるかもしれませんね
▷新たなメリットを引き出す契機となる
顧客自身の言葉で語って貰うことで、課題の重要性をより実感してもらうことができます。また、改めて課題の確認をする中で新たな価値や効用を見いだすことができるでしょう。
まとめ
以上が「課題の策定」の解説でしたが、イメージは掴めましたでしょうか?
抽出した問題に優先順位をつけた後、自社製品や自社サービスの適用範囲を外さないように、課題の策定を行なっていきましょう。
また、後の社内検討がスムーズに進むよう、顧客の課題に対する正確な理解を促すようにしましょう。
ただし、投資利益率(ROI)の悪化やクレームを避けるためにも「自社で対応出来ない部分について無理に解決策を提示すべきではない」ということは常に胸に留めておきましょう。
次回は「解決策の提示」に入っていきます。