そもそもテレビ局の営業とは?仕事内容を解説!
まずはテレビ局の営業の仕事内容について解説します。
テレビ局の営業の仕事内容とは
テレビ局はただ番組を制作して放送しているだけではありません。テレビ局の売上の大部分はテレビCMによる広告収入によって支えられています。そしてその広告を受注してくるのがテレビ局の営業パーソンです。
一般的にテレビの広告枠の販売には電通や博報堂を始めとする広告代理店が絡みます。テレビ局の営業パーソンは広告代理店と協力して、番組の合間のCM枠に対するスポンサーを募集します。
また、テレビCMだけではなく、スポンサーが開催するイベントの企画立案を行うこともあります。
営業手法はあまり変化が無い
他の業界ではマーケティングのデジタル化が進み、営業の活動もそれに大きく影響を受けていますが、テレビ局は比較的昔ながらの営業スタイルを貫いている企業が多いです。
テレビにCMを出すような企業は限られていますし、広告代理店も営業しているため、どちらかと言えば新規をバリバリ開拓していくというよりも、既存客へのルート営業や、広告代理店などから紹介される案件に対しての営業が多くなります。
テレビCMの広告枠は売れているのか?
今の若者はテレビを見なくなっているとも言われているので、テレビ局の営業の仕事も少なくなるのではないかと思われるかもしれません。
確かにWEB広告が急速に市場を拡大しているので、数年以内にテレビCMは広告の王様でなくなるのでないかと言われています。
しかし、未だにテレビCMは年間2兆円と販促媒体の中でも最大の市場規模を維持し続けており、毎年その規模はほとんど変わらず横ばい状態です。
テレビのように大規模な情報伝達力を持ったメディアは他にありませんし、法律により新規参入がほぼ不可能なので、まだまだテレビ広告のニーズは高いと言えます。
地方局でも東京で営業している
基本的にはそのテレビ局が放送している範囲内が営業エリアとなります。ただし、地方ローカル局であっても東京に本社を持っているのが一般的です。
東京は色々な企業があるので、東京の企業に対してアプローチするのはもちろんのこと、キー局を頂点にしてローカルの系列局の繋がりがあるので、テレビ局同士の関係づくりのために営業する場合もあります。
テレビ局営業パーソンの年収はどれくらい?待遇やキャリアを解説!
では、テレビ局の営業パーソンはどのような年収や待遇で、どのようなキャリアを経ることになるのでしょうか。
年収はキー局がトップクラス、ローカル局になるほど低い
一般的にテレビ局の平均年収は高いと言われています。例えば、平成27-28年の朝日放送の平均年収は1498万円と上場企業の中でも極めて高くなっています。
他にもTBSホールディングス平均年収1490万円、フジ・メディア・ホールディングス平均年収1430万円など東京のキー局は軒並み平均年収1300万円以上を記録しています。
キー局には劣りますが、地域ローカルの放送局でも有力な準キー局であれば毎日放送1321万円、中部日本放送1153万円など高い平均年収の事例があります。
ただし、これらは上場している企業の平均年収なので地方でも更にローカルな局になると更に年収は下がります。それでも各地方の一般的な平均年収と比較すると高めに設定されていることが多いでしょう。
営業の平均年収については基本的に平均年収に近い金額になると考えられます。
営業によって大きく業績が変わるという業界でもありませんし、いわゆる総合職のように会社の人事の意向に沿って番組制作や編成に異動することも多いです。
営業を担当していると営業手当がつく会社もありますが、営業を担当しているから社内で著しく年収が高くなるということもないでしょう。
テレビ局の営業パーソンは待遇が良いのか?
もちろん、福利厚生はそのテレビ局によって異なります。キー局では、各種手当はもちろんのこと、企業年金や財形貯蓄、各種特別休暇に厚生施設というように大企業らしい福利厚生が充実しています。
地方ローカル局の場合、規模によってはそれほど福利厚生が充実しているわけではありませんが、それでも同じような地域のローカル企業よりも福利厚生がしっかりしているケースの方が多いでしょう。
営業だからと言って、待遇が極端に変わることはありませんが、服装が比較的自由なテレビ業界でもクライアントと会うことが多いのできちんとスーツを着て仕事をしなければなりません。また、何かと付き合いが多い業界なので仕事の時間帯は不規則になりがちです。
仕事の不規則さを除けば、十分に良い待遇を期待しても良いでしょう。
また、社会的信用が高い職業でもあります。
テレビ局の営業パーソンのキャリアは?
では、テレビ局の営業パーソンはどのようなキャリアを経るのでしょうか。
まず基本的に新卒で入った場合、営業として採用されるのではなく総合職として採用されます。
営業以外の部門も含めて社内キャリアを積んでいくというのが、テレビ局の営業パーソンの基本的な働き方です。
営業畑を経験して番組のディレクター側になったり、営業からコンテンツ管理・販売部門に行ったりと個人の適性と会社の意向によって様々なキャリアパスが考えられます。
基本的に色々な職種で働ける可能性はありますが、アナウンサーやカメラや照明などの技術職は総合職とは別の採用枠にしているケースが多いので、これらの職種にはなれません。
テレビ局というと視聴率の取れる番組を制作できる人が偉いというイメージがあるかもしれませんが、営業畑からテレビ局の社長に上り詰める人もいますし、十分に出世は可能です。
転職してテレビ局の営業パーソンになった場合は、もちろんはじめは営業畑で働かなければなりませんが、その後、営業として働き続けるか、他の部署に異動するかは各テレビ局の人事戦略によるでしょう。
テレビ局営業パーソンは激務?一日のスケジュールを紹介します!接待が多いって本当?
テレビ局は一般に激務というイメージがありますが、営業パーソンも忙しいのでしょうか。営業パーソンのスケジュール例を元に、テレビ局の営業パーソンが激務なのか検証します。
テレビ局の営業パーソンの1日のスケジュールは?
まず、基本的な労働時間は昼勤務の一般的な企業と同様です。9~10時位から17時~18時位までというテレビ局が多いです。
テレビはほぼ1日中放送しているので、番組制作に関わるスタッフは変則的な勤務になるときがありますが、営業パーソンの仕事は番組の時間帯と関係ないので早朝や深夜勤務となることはありません。
通常の営業と同じように出勤してからデスクワークをして、外回りをして、夕方頃に会社に戻ってデスクワークをして帰社となります。営業なのでスケジュールはお客様ありきとなりますが、自分でアポイントの調整ができるため、時間管理はしやすいでしょう。
クライアントの接待が入る場合は終業後に飲み会などに参加しなければならない場合があります。
接待は多いのか?
東京のキー局と地方の独立系の放送局では接待の数も違いますが、キー局やローカル局の東京支社は接待が多いと言われています。週に5日間、接待に行くということもざらにあるようです。
テレビCMは大きなお金が動きますし、放送局毎にCM枠に明確な違いがあるわけではないので、営業が気に入ってもらって契約してもらうという流れが多いからです。
もちろん、プロモーションの専門家としての意見を求められることもありますが、どちらかと言えばウェットに良好な人間関係づくりを重視する営業パーソンが多いと言われています。お酒が飲めない人には少しつらいかもしれません。
テレビ局の営業パーソンは激務なのか?
接待も仕事の時間と考えると、テレビ局の営業パーソンは激務だと言えるでしょう。中には接待が深夜や翌朝にまで及ぶこともあります。
ただし、すべてのテレビ局の営業パーソンが接待で激務になるというわけではありません。昼間の営業は、ガンガンに新規契約を獲得しなければならないというわけではありませんし、スケジュールも管理しやすいので、営業の中でも余裕がある部類に入るでしょう。
また、キー局や東京支社でなければ、毎日のように接待が続くということもありません。それほど激務ではないかと怯える必要もないでしょう。
テレビ局の営業部にはどんな人が多い?雰囲気や価値観を解説!
では、テレビ局の営業部はどんな人が多いのでしょうか。雰囲気や価値観について解説します。
テレビという仕事に誇りを持っている
テレビ局の営業パーソンはテレビという仕事に誇りを持っている人が多いでしょう。昔ほどテレビを見なくなったと言われていても、やはりテレビは主要な娯楽の1つですし、消費者に大きな影響を与えるメディアです。
他人からも称賛されやすい職業ですし、テレビが好きで仕事をしているという人も多いでしょう。
常にクリエイティブでありたい
また、クリエイティブでありたいと思っている人が多い傾向もあります。テレビ局の営業パーソンは営業がしたいと思ってテレビ局で働いているよりも、テレビに関わりたいと思って結果として営業をしていることが多い傾向にあります。
ただ、契約を取ってきて営業として認められたい、年収を上げたいというよりも、テレビのコンテンツ制作に関わる人間として面白いコンテンツを作れるクリエイティブな人材でありたいと考えている人が多いでしょう。
体育会系の人が多い
テレビ局は業界単位で体育会系の人が多いと言われていますが、営業はその中でも特に体育会系が多い部署の一つでしょう。
先輩・後輩の上下関係に厳しく、ときには理不尽と思えるような指示を出されることもあります。体育会系出身者以外が営業になるとその空気感に戸惑うかもしれません。
テレビ局営業のメリットデメリット、やりがいを解説!
では、テレビ局で営業として働くメリット、デメリット、やりがいはどのようなものなのでしょうか。
テレビ局で営業として働くメリット
まず、テレビ局で働くメリットとして挙げられるのが、社会的信用と待遇の良さです。先ほど説明した通り、テレビ局の平均年収は高く、待遇が充実している傾向があります。
更に「テレビ局で働いている」ということが社会的なステータスであると認識されているので、羨望されることも多いでしょう。
また、クライアントに大手企業も多いので、大手企業のマーケティング担当者とコネクションを築く事が出来ます。
テレビ局で営業として働くデメリット
一方で体育会系の職場なので苦手な人には人間関係によるストレスが溜まりやすいかもしれません。また、上品ではない接待も少なくないので、営業自体にストレスを感じるかも知れません。
更に、営業の中でもかなり特殊なので、他所の業界に転職しても営業として活躍できるような汎用的なスキルは身につきにくいでしょう。
テレビ局で働くやりがい
以上のようなメリット・デメリットがあるとしてもテレビ局の営業パーソンはやりがいのある仕事でしょう。
テレビ番組が放送できるのは、その番組のスポンサーがいるからで、スポンサーを獲得するのは営業パーソンの仕事です。番組を放送するために重要な役割を担っているということはやりがいとなります。
また、テレビ局の営業先は有名企業が多く、名だたる大企業を相手にビジネスをしているということで自尊心が満たされるでしょう。
更に、自分が関わっている営業案件が成約すればCMという目に見える形になります。自分が関わった仕事がテレビに放送されるということはやりがいになるでしょう。
テレビ局営業に向いている人、向いていない人の特徴とは?
では、テレビ局の営業に向き・不向きはあるのでしょうか。その特徴について説明します。
テレビ局の営業に向いている人
まずはテレビ局に向いている人の特徴について説明します。
バイタリティーに溢れている人
先ほど説明した通り、テレビ業界は体育会系の雰囲気が強く、接待を含めれば拘束時間が長くなりがちです。よって体力がある人の方が望ましいでしょう。
接待によって深夜まで拘束されて、大量にお酒を飲んで翌朝二日酔いのようになっても、きちんと出社して営業しなければなりません。
これが、連日続く可能性もありながら、営業として明るく振る舞わなければならないので、バイタリティーのある人の方がテレビ局の営業に向いているでしょう。
コミュニケーション能力が高い人
一般的に営業パーソンのコミュニケーション能力とは、顧客からのニーズのヒアリングや企画の精度、プレゼンの上手さなどを含めた総合力のことを指します。
一方でテレビ業界の場合は、他人と仲良くできるという意味でのコミュニケーション能力が重視されます。
すなわち、愛想が良くてクライアントから好かれる能力であったり、疲れていても明るく振る舞うことができたりなど、「自分を売る」能力のことを指します。
広告代理店やスポンサーと仲の良い営業パーソンが活躍しやすいので、他人と仲良くできるというのは、テレビ局の営業パーソンの重要な適性です。
テレビが好きな人
先ほど説明したとおり、テレビ局で働いている人には営業か否かに関係なく、テレビに関わっているということに誇りを持っている人が多いです。
自分が営業に関わっている番組以外にでも、他局のテレビ番組や過去のテレビ番組を含めて、テレビに関する話題が多いので、職人的に営業をする人よりも、テレビが好きで営業をする人の方が向いているでしょう。
テレビ局の営業に向いていない人
次にテレビ局の営業に向いていない人について説明します。
体育会系の雰囲気に馴染めない人
まず、体育会系の雰囲気に馴染めない人がテレビ局の営業に向いていないでしょう。キー局かローカル局か、東京での営業か地方での営業かによって度合は違いますが、基本的には、様々な業界の中でも特に体育会系の人が多く集まるのがテレビ局の営業です。
よって、体育会系の雰囲気に馴染めない人にはテレビ局の営業はつらいでしょう。先輩・後輩の上下関係が厳しく、ときには理不尽と思えるルールがあるかもしれません。
接待が苦手な人
また、営業はほぼ接待が前提となるので接待が苦手な人は営業に向いていないでしょう。
特にお酒は飲めた方が良いです。どうしてもお酒が飲めない場合は上手くかわすテクニックを持っておいた方が良いでしょう。また、一発芸やエピソードトークの引き出しは多めに持っておいた方が良いでしょう。
ビジネスとしてテレビ局を変えたい人
WEBメディアなどの台頭などによりテレビ局は変革されなければならないと言われていますが、良くも悪くも保守的な業界です。
自分がテレビ局の未来のビジネスモデルを作りたいと思って入社すると、実際の仕事とのギャップに苦しむかもしれません。
作るコンテンツの面白さを追求することはできますが、ビジネスモデルとしてのテレビを変えることは容易ではないでしょう。
テレビ局の営業部に就職する方法を解説!
では、テレビ局の営業部に就職するにはどのような方法があるのでしょうか。テレビ局の営業部への就職方法について説明します。
求人をマメにチェックする
まずテレビ局の営業部に就職したい人が一番気を付けなければならないのが求人をマメにチェックすることです。
放送局の業界団体である民放連に加入しているテレビ局は150社もありません。よって、そもそも求人自体が少ないので、まずテレビ局の営業の求人を見つけるということが難しいです。
地上波だけではなく、ケーブルテレビや衛星放送などまで対象を広げれば、求人は増えるかも知れませんがそれでもごくわずかな数でしょう。テレビ局の営業に転職したい場合は、まず求人募集が発生するまで耐えることが必要となります。
大抵の場合、テレビ局は人気の業種なので大々的に募集せずに、テレビ局のWebサイトにさりげなく中途募集が告知されたと思ったら、いつの間にか終わっていたというケースも少なくありません。
そもそも求人に気づけなければお話にならないので、テレビ局のホームページなどでマメに求人はチェックしておいた方が良いでしょう。
新卒時の就活が最大のチャンス
テレビ局の営業として就職する最大のチャンスが新卒時の就活です。転職の求人は不定期、めったに存在しない一方で、新卒は毎年一定数を採用している会社が多い傾向にあります。
どうしてもテレビ局の営業として働きたい場合はまず新卒のときにテレビ局を受けるのが一番良いでしょう。
ただし、テレビ業界は人気の業界なので新卒でも高い競争倍率となっています。キー局だけではなく、ローカル局を含めて多めに選考を受けた方が良いでしょう。
未経験からいきなりテレビ局の営業になるのは難しい
未経験からいきなりテレビ局の営業になるのは難しいと考えられます。人気の業界ですし、テレビ局側として未経験の人間を採用して一から教育するメリットはほとんどないからです。それならば新卒を育てようとします。
テレビ局に転職したいという場合は、まったく異なる業界ではなくて、近い業界からの転職を狙った方が良いでしょう。
例えば、広告代理店やテレビ局の下請けの映像制作会社ならば、転職者向けの求人がありますしテレビ業界とも近いので、転職できる可能性も高まります。
テレビ局の営業に転職したい場合は、まずテレビ局に近い業界に転職することからはじめましょう。
テレビ局営業の転職理由や転職先をまとめました!
人気のテレビ業界ですが、せっかく入社したのに退職する人も存在します。どのような理由で転職するのか、また転職先はどのような会社なのかテレビ局の転職先について説明します。
営業だけではないテレビ局で身につけられる能力
まず、テレビ局は総合職として入社することが多いので、「テレビ局の営業」として独立する人があまりいないでしょう。
営業を含めて、番組の企画、制作など総合的にテレビ業界で働いていた人材ということで転職する人が多いです。
テレビ局からの転職先
テレビ局から転職する場合、まったく異なる異業種に転職するのではなく、テレビの関連業界に転職する人が多いと言われています。
例えば、テレビ局の広告を販売している広告代理店に転職したり、テレビ局から委託されてコンテンツを制作している映像制作会社に転職するというのがよくあるケースです。
反対に営業として働いていたからといって、テレビ局の営業経験が活かせる営業は少ないです。
新規案件の開拓などは広告代理店が行ってくれますし、接待が中心なので、新規案件の獲得や論理的な説明に基づいた営業活動など、いわゆる普通の営業の仕事はあまり行っていません。
若ければ異業界の営業に転職しても乗り切る事ができますが、ある程度のテレビ局で働いてから、テレビ関係以外の営業職に転職するのは大変でしょう。
テレビ局からの転職理由
では、テレビ局から転職する理由としてはどのような理由が考えられるのでしょうか。
まず単純にテレビ局の営業がつらいという理由が考えられるでしょう。テレビ局自体が体育会系の雰囲気ですので、体育会系の雰囲気に耐性のない人にはつらく感じることが多いです。
また、営業は接待が多いので接待のつらさにストレスを感じて辞めていく人も多いでしょう。
また、テレビ局について漠然とした憧れを持って入社して、理想と現実にギャップを感じて、転職する人もいます。
テレビ局は華やかな仕事ですが、大企業かつ保守的な業界ゆえに一人一人が広い裁量を持って仕事できるわけではありません。
コンテンツ作りに携われる自由度という観点で考えれば、WEBコンテンツを作っている会社の方が、コンテンツの自由度は高いでしょう。よって、テレビ局よりも自由なコンテンツ作りがしたいということで転職する人もいます。
いずれにしてもテレビ産業やコンテンツ作りが嫌いで転職するという人はほとんどいないでしょう。